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2008年12月22日(月) 07時07分

ニッポン生活 寒イデス 英会話講師 給与未払い貯金頼り 留学生 円高で両親の負担増西日本新聞

 景気の悪化は、九州で暮らす外国人たちの暮らしにも暗い影を落としている。勤め先の経営悪化で収入が激減した男性、自国通貨の急落で家族の仕送り負担が増した留学生、交通費を切り詰める男性…。生活の維持に懸命な現状がのぞく。

 「貯金を取り崩して年を越すしかない」。福岡市中央区に住む英会話講師の米国人男性(27)は、経済的不安を口にする。

 日本人の妻(24)と一緒に働いていた英会話学校の経営が悪化。8月から賃金の大半が支払われず、これまでの不払い額は夫婦計約90万円になる。妻の実家からもらうようになった仕送りも家賃や光熱費で消える。貯金にも手を付けた。別の英会話学校を探そうにも、年度途中で求人はない。

 来日して8年。男性は「こんなに苦しい生活は初めて。でも4月になれば英会話講師の募集があるはず」と期待を抱く。

 一方、世界的な金融危機の影響がもたらした急激な円高ウォン安は、九州の観光業だけでなく、韓国人留学生の生活も直撃している。ウォンの対円価値は1年間で約半分となり、韓国からの仕送り額が2倍に膨らんだからだ。

 立命館アジア太平洋大学(大分県別府市)4年の鄭世永(ジョンセヨン)さん(25)は1カ月の生活費の半分、約5万円を仕送りに頼っていた。だが10月に就職活動を始めたため、アルバイトを減らさざるをえず、仕送りを増やしてもらった。ウォン安もあって両親には二重の負担だ。

 「父と母には本当に申し訳ない。でも今は大事な時期だから」と鄭さん。少しでも出費を抑えようと、たばこをやめた。同大によると、学費の納期延長を求める留学生も出ているという。

 九州大学(福岡市)でも、3年生の韓国人女性(22)が「携帯電話の料金が払えない。早くアルバイトを見つけないと」とバイト募集の掲示板の内容に目を凝らしていた。

 ユーロも安くなった。10月から九州大に1年間の短期留学をしているドイツ人男性(23)は「留学を計画していた夏ごろは1ユーロが約170円だったが、今は120円台しかない」とため息。自炊を増やしたり、自転車通学をしたりして生活費を節約しているという。

 厳しさを増す就職戦線。19日に福岡市内であった企業による合同説明会には、留学生の姿も。国内での就職を目指す長崎国際大(長崎県佐世保市)のスリランカ人、ダミット・チンタカさん(24)は「日本人学生と競う私たちはもっと厳しい」と話し、各社のブースを精力的に回っていた。

=2008/12/22付 西日本新聞朝刊=

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081222-00000009-nnp-soci