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2008年12月22日(月) 00時20分

池田首相、米の核実験再開了解=ケネディ大統領が対応相談−首脳会談で・外交文書時事通信

 米国とソ連(当時)が核実験を自粛していた1961年6月、訪米した池田勇人首相(同)が、ケネディ米大統領(同)から翌年1月にも実験を再開する意向を伝えられ、国際世論対策の面で協力する考えを表明していたことが、22日付で公開された外交文書で分かった。首脳会談から約2カ月後、ソ連は実験を突然再開。米国も対抗して地下実験を強行した。日本政府は米側に「深い危惧(きぐ)」を示して抗議したが、実際は再開方針を了解していた。
 東西冷戦下の軍拡競争で緊張が高まる中、米ソ両国は58年11月から核実験を自粛していた。一方で、双方とも自陣営に有利な条件で実験停止協定を結ぼうと、ジュネーブ核実験停止会議などの場で火花を散らしていた。
 61年6月20日に行われた日米首脳会談で、大統領は池田首相に対し「ソ連が実験を行っているか確かめる方法がない。このままでは米国が後れを取る可能性がある」と不安を吐露。「夏ごろには方針を決定しなければならない。再開せざるを得ない立場に追い込まれた点をどう説明したらいいか、意見を伺いたい」と切り出し、「決定の場合、時期は来年1月ごろになると予想される」と伝えた。
 これに対し、首相は再考を求めながらも、「再開を避けたい気持ちをソ連に迫り、それにもかかわらずソ連側が受け入れない事実を広く世界に示すことが必要だ」とアドバイス。「日本は核爆発の被害経験もあり、本件のPRについて国連などを通じて積極的に実施することも考えられる」と申し出た。
 23日の第3回会談でも、大統領は「ソ連のせいであることを周知させる努力をしてほしい」と再び要請。首相は「賛成するわけにいかないが、再開決定に追い込まれた立場は了解する。いずれにせよPRに努める必要がある」と応じた。 

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