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2008年12月22日(月) 22時15分

<12月月例経済報告>外需崩壊 日本経済「未曽有の危機」毎日新聞

 政府は12月の月例経済報告で景気の基調判断を約7年ぶりに「悪化」へと引き下げた。世界経済の急速な悪化で11月の輸出は過去最大の落ち込みを記録。かつてない速さで進む外需の落ち込みで企業の生産・雇用調整が広がる日本経済は「『悪化』という一言では言い表せない未曽有の危機」(大手証券アナリスト)に直面している。

 11月の貿易統計は、米欧向け輸出に加え、中国向けやアジア向け輸出も前年同月比3割近く落ち込む「外需総崩れ」状態を示した。

 エコノミストの間では「10〜12月期の実質経済成長率は年率5%以上の歴史的なマイナス成長となる」(BNPパリバ証券)との見方も浮上するなど、予想以上の景気後退の深刻化への懸念が一気に広がった。

 自動車の輸出額は、前年同月比31.9%減と急落した。トヨタ自動車など日本の自動車大手3社は11月時点で米国に適正水準のほぼ倍の新車在庫を抱えていると言われる。それが部品業界も含めた国内工場の大幅減産や、期間労働者などの大規模な雇用削減などにつながる「負の連鎖」を加速させている。さらに、欧米のクリスマス商戦の不調で、デジタル家電などに使う半導体など電子部品の輸出も29.0%減少と大きく落ち込んだ。

 内閣府によると、世界的な景気悪化で、日本の輸出はかつてない速度で減少している。アジア金融危機時(97年)やIT(情報技術)バブル崩壊後不況(00年)時とは比べ物にならない速さという。

 すそ野の広い自動車や電機メーカーは、これまでも外需不振に陥るたびに生産・雇用調整に走り、それが関連産業にも波及してきた。失業不安が個人消費を一段と低迷させ、それが更なる企業業績の悪化につながる“負の循環”が起きており、年明け以降は景気の「底割れ」も懸念される状況だ。【尾村洋介、赤間清広】

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