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2008年12月22日(月) 20時43分

クラブW杯閉幕 理想とほど遠い大会方式産経新聞

 サッカーの6大陸連盟クラブ王者が世界一を争うクラブW杯が21日、閉幕した。欧州王者のマンチェスター・ユナイテッド(イングランド)が強さを見せつけ優勝を飾り、観客は8試合で約35万人を動員した。観客は8試合で延べ35万人を動員、表面上は成功といえるが、欧州、南米が圧倒的に有利な組み合わせや、大陸間の実力差などもある。来年からはアラブ首長国連邦(UAE)に舞台を移すが、大会そのものがまだまだ、手探りの状態が続いている。(伊藤美希)

 ■興行的には成功だが

 約6万9000人の大観衆を集めて開催された決勝は、マンUが南米代表のリガ・デ・キト(エクアドル)に快勝。決勝点がイングランド代表FWルーニーで、ポルトガル代表MFロナルドが活躍という絶好の展開となり、視聴率は12・8%(関東地区)だった。

 来年から2年間は、日本での開催ではなくなるが、日本サッカー協会幹部は「日本だからこそ、こんなに観客が集まる。無事に終わって良かった」とホッとした表情を浮かべた。

 ■大会の方式が不公平

 興行面での成果はともかく、大会の方式については、当初から問題や課題を抱えていた。

 中でも、欧州、南米の2チームとその他の4チームに実力差があり過ぎないか−という問題点は、その不安が的中している。日本で開催された4大会すべてが決勝は欧州−南米のカードになった。

 さらに、大会のトーナメント方式自体が欧州と南米の2チームのみがシードされ、準決勝からの登場。ここで勝てば即、決勝へ進出できる。一方、オセアニア代表などは1回戦から勝ち上がり、決勝へ進むには準々決勝、準決勝と順番に上がっていかねばならない。試合数や試合間隔で不公平感は否めない。

 実際、このシステム自体に首をかしげる記者も少なくない。「どのチームも3試合こなすシステムでなければおかしいのでは…」と疑問を投げかけるのはマンUのおひざ元、英国のタブロイド紙『ザ・サン』のロビンソン・マーク記者。エクアドルの一般紙『エル・コメシオ』のサンティアゴ・アレジャンド記者も、「チームを2つに分けて、ピラミッド型に勝ち上がっていく方式にすべき」とした上で「欧州と南米の2チームを切り離せば、実力差も少しは解消されるだろう」と提案する。

 一方で、「(今のシステムは)不公平だが、強い2チームにアドバンテージがあるのは当然かもね」との記者もいる。英国紙『ザ・デイリー・テレグラフ』のウィンター・ヘンリー記者は「どんな形であれ、欧州のチームが強いのは変わりない」と言い切る。

 ■疑問の声も

 今年4位となった北中米カリブ海代表のパチューカ(メキシコ)のメサ監督は、3位決定戦後の会見で「欧州、南米の2チームは素晴らしい。しかし、彼らは2試合しかしない。できれば、みんな同じ形で出場したかった」。大会の当事者から疑問の声が上がっているのも事実だ。

 また、1国集中開催のセントラル方式がいいのか、欧州チャンピオンズリーグ(CL)などのように、ホーム・アンド・アウエー方式がいいのかなど意見も分かれている。来年から2年間、UAEで開催されるが、地理的に欧州に近いという事情もある。

 国際サッカー連盟(FIFA)のゼップ・ブラッター会長は大会の公式プログラムのインタビューの中で「この大会の将来性はデリケートな問題。これからも大会を見ていき、いろんな方の意見を参考させてほしい。それにより、将来的な進化が見えてくる」と語っている。

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