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2008年12月22日(月) 20時04分

靴投げ記者、アラブ世界で「英雄視」 根強い嫌米感情産経新聞

 【カイロ=村上大介】イラク司法当局者は22日、ブッシュ米大統領に靴を投げつけたムンタザル・ザイディ容疑者に対する裁判が今月31日から始まるとの見通しを示した。フランス通信(AFP)が伝えた。ブッシュ米政権に対する嫌悪感が極めて強いアラブ世界では、民衆はザイディ記者を「英雄視」して留飲を下げているのが実情であり、同時にブッシュ政権が増幅させた嫌米感情の根強さも浮き彫りにしている。

 AFPによると、ザイディ記者は「公式訪問中の国家元首に対する襲撃」の容疑で取り調べを受けている。その場合、5年から15年の禁固刑となるが、司法関係者によると、最終的には「未遂事件」として起訴される可能性も強く、その場合は1年から5年の禁固刑になるという。

 イラクのマリキ政権は、拘束されている同容疑者が「謝罪文」を書いたと発表するなど、同容疑者を英雄視する内外の世論を“中和”しようと試みている。一方で、20日付の汎アラブ圏紙アルハヤート(ロンドン発行)によると、ザイディ容疑者の家族は、同容疑者がもう一度チャンスがあれば、ブッシュ(大統領)に靴を投げつける、と語っていると主張している。

 エジプトの男性が自分の20歳になる娘をザイディ記者と結婚させたいと名乗りを上げたり、サウジアラビアの元小学校教師がザイディ記者の投げた靴を1000万ドル(約9億円)で買い取りたいと申し出たりといった話題もメディアをにぎわしている。

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