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2008年12月21日(日) 02時34分

<偽造判決文>家裁書記官、別の手口で数千万円毎日新聞

 偽造判決文により凍結解除された銀行口座から預金が引き出された事件で、京都家裁書記官、広田照彦容疑者(36)=偽造有印私文書行使容疑で逮捕=が、裁判制度の本人確認手続きの不備を突くなど、新たに二つの手口で他人の口座からそれぞれ数千万円をだまし取った疑いのあることが埼玉県警の調べでわかった。広田容疑者は新たな手口への関与を認める供述をしているという。

 県警幹部によると、新たな手口の一つは、書記官の立場を悪用。もう一つは、書記官の立場でなくても法律知識があれば可能で「裁判制度上の一種の本人確認手続きの不備を突き、他人の口座から現金を引き出し、さらに借金を背負わすことが可能」(捜査幹部)という。二つの手口についても、詐欺容疑などでの立件を視野に入れて捜査している。

 これまでの調べで、振り込め詐欺に使われたとして凍結された複数の口座を巡って、今秋、広田容疑者がでっち上げたとみられる架空の人物「馬場(ばんば)」に各口座の債権があるとする偽造判決文が各地の裁判所に届いた。一部裁判所は口座を管理する金融機関に口座残金の差し押さえを命令し、「馬場」が金を引き出せる立場を得た。広田容疑者は9月、凍結口座の一つを管理する埼玉県内の銀行に「馬場」名で振込依頼書を郵送したとして逮捕された。【浅野翔太郎】

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