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2008年12月21日(日) 00時17分

防衛省、国際相場の50倍で装備品調達 山田洋行から 公開データ参考にせず 産経新聞

 防衛省の装備施設本部が防衛専門商社「山田洋行」(東京都港区)との間で契約した防衛装備品の価格が、米国の国防省が公開している価格の最大で50倍以上にのぼっていたことが、会計検査院の調べで分かった。防衛省が防衛商社との間で極端に「高い買い物」をさせられ、「税金が浪費した」(検査院関係者)ことになる。国防省の価格はFLIS(フリス)と呼ばれるデータベース(DB)に蓄積され、インターネットで公開されているが、防衛省側は参考にしていなかったという。

 検査院によると、米国は平成5年以降、国防省が米軍の調達価格の平均に補正を加えて算定した国防省価格をネット上で公開している。軍用トラックのネジからミサイルまで価格情報がそろっており、世界最大の防衛装備品に関する情報バンクといえる。

 FLISは米国防省からパスワードを付与されれば、より機密性の高い情報にもアクセスでき、NATO(北大西洋条約機構)加盟国と韓国、イスラエルなど計56カ国がパスワードを付与されている。日本はパスワードを持っていない。

 山田洋行が12〜18年度に防衛省の装備施設本部と契約した49件、計約96億4000万円を検査院が調べたところ、防衛省は国防省価格の最大で50倍以上もの価格で山田洋行と契約したケースがあった。平均でも約20倍にのぼった。

 昨年秋に山田洋行が輸入した装備品の契約額を同省に過大請求していた問題が発覚したのを機に、同省のプロジェクトチームは今年3月、改善報告書をまとめた。検査院関係者によると、これまでにFLISの存在を同省に伝えているが、報告にその活用は触れられていないという。

 同省の装備施設本部装備政策課はFLISについて、「存在が知られていなかった。装備品の価格は複雑で単純比較はできないが、活用は検討する」と話している。

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