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2008年12月21日(日) 06時02分

契約金6000万円でプロサッカー選手…中3が50万詐欺スポーツ報知

 「俺はプロサッカー選手になる。お金を貸してくれたらお礼する」などと言い、顔見知りの男性(60)から現金50万円をだまし取ったとして栃木県警小山署は20日、同県下野市に住む中学3年生の少年(15)を詐欺の疑いで逮捕した。被害者の男性によると少年は、あのデービッド・ベッカムが所属するサッカークラブ「ロサンゼルス・ギャラクシー」への入団を豪語。多額の契約金やセレブをでっちあげ、男性をだまし続けていたという。

 ベッカムの名前をちらつかせ「金の卵」ぶりを自慢して、大人から金をだまし取った疑いで中学生が逮捕された。

 被害者男性は健康の問題で2007年に会社を退職。その後、自宅で療養していたが、数キロ離れた小山市内のゲームセンターで気晴らしをするようになった。同年10月ごろ、メダルゲームで遊ぼうとしたが、やり方が分からず困惑。そこに問題の少年が近づいてきて「こうすれば、メダルがいっぱい取れるようになるよ」と声をかけられたという。

 このことをきっかけに男性と少年は、言葉を交わすような関係に。気を許した男性は少年に280円のうどんをおごったりゲームをさせたりし、また少年からはメダルをもらったりしていた。少年は平日にもかかわらず日中からゲームセンター通い。「俺はサッカーの特待生。午前中は練習で、午後は暇になるから」と説明していたという。

 今年に入って少年の話は、どんどんエスカレートし始める。「俺は金持ち。父親は米国で自動車会社を経営している。今は不景気だが年収は数億円ある。母親もこの周辺でアパートを経営している」「学校での成績は常に3番以内。ベッカムのいるアメリカのサッカーチームと契約する。スポーツ新聞を見たら俺が載っている。契約金は6000万円」と豪語。髪は金髪で体つきもガッチリしていたことから、男性は話を信じてしまったという。

 ここまでは、まだ単なる子どもの誇大妄想。しかし5月下旬、少年は男性に銀色の腕時計をゲームセンターの中で見せると「これは100万円するけど、おじさんには7万円で売ってあげる」と話した。時計はプラスチック製で、とても100万円とは見えない代物だ。取材中に破損してしまうほどの耐久性だったが、信じきっていた男性は現金を渡してしまった。

 さらに6月には「50万円貸してほしい。後で父親が1000万円のお礼をすると言っている」と話し、男性に金を引き出させたという。50万円を手にした数分後、少年の姿は消え、それ以降はゲームセンターにも現れなくなったという。

 男性は周辺の友人に話を聞くなど少年の行方を捜していたが、結局見つからず。19日、小山署に被害届を提出した。同日夜、このゲームセンターに来ていた少年を署員が発見。同行を求め事情を聴いたところ、容疑を認めたという。

 調べによると、少年はプロ注目どころかサッカー自体やっておらず、学校にもほとんど行っていなかった。父親も社長ではなく、男性からだまし取った金はほとんどゲームセンターで使ってしまったという。同署では余罪についても調べを進める方針。

http://hochi.yomiuri.co.jp/topics/news/20081221-OHT1T00110.htm