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2008年12月21日(日) 22時56分

<EU>拡大路線が復活 アイルランド国民投票再実施などで毎日新聞

 【ブリュッセル福島良典】アイルランドが欧州連合(EU)の新基本条約「リスボン条約」を批准するための国民投票を来秋までに再実施すると決め、停滞していたEUの拡大路線が息を吹き返した。EUの行政府・欧州委員会は金融危機で打撃を受けたアイスランドの加盟を想定して、準備に入った。

 将来の拡大に備えたリスボン条約は今年6月にアイルランド国民投票で批准が否決されて発効が宙に浮いていた。だが、今月11、12日のEU首脳会議で他加盟国がアイルランドの条約反対派の懸念を緩和する措置を取ると約束し、条約再投票と拡大路線継続の環境が整った。

 モンテネグロのジュカノビッチ首相は15日、パリでサルコジ仏大統領に加盟申請書を手渡した。セルビア、アルバニアなど他のバルカン諸国も申請準備を加速するとみられる。

 モンテネグロは来年前半の加盟候補国入りを目指しており、その後、行政・司法改革など加盟条件を満たすための交渉が始まる。クロアチア、トルコ、マケドニアは既に加盟候補国で、クロアチアは来年末までに加盟交渉を終え、10年か11年にも加盟の見通しだ。

 金融危機後、加盟論が急浮上しているのがアイスランドだ。レーン欧州委員(拡大担当)は最近、「アイスランドの加盟準備に向けて我々も心の準備をする」と述べ、同国が来年初めにも加盟申請する可能性があるとの見通しを示した。

 独自漁業政策を維持したいアイスランドはこれまで加盟に消極的だったが、通貨暴落で加盟支持世論が高まり、ハーデ首相が検討委員会を設置した。EU市場に参入するための「欧州経済領域」には参加済みで、バルカン諸国よりも加盟交渉は迅速に進むとの見方が一般的だ。

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