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2008年12月21日(日) 22時52分

受刑者の生活を知って 「量刑判断の手助けに」産経新聞

 刑事施設には主として受刑者を収容する全国62カ所の刑務所や7カ所の少年刑務所のほか、おもに未決拘禁者(被逮捕者、被拘置者)を収容する拘置所・同支所などがあり、参観できるのは受刑者収容施設。

 参観では、受刑者のいない居室や作業場などを見学したり、ビデオや資料などで受刑者の生活・矯正の状況を知ることができる。矯正関係者は「裁判員制度が始まれば、基礎知識として知っておくことはもちろん、その空気を感じることで、たとえば執行猶予か実刑かの量刑決定でも、イメージしやすくなるのでは」と参観の意義を話す。

 一般的な受刑者らの生活は、午前6時45分起床に始まり、8時から午後4時40分まで工場作業。この間に昼食や運動、面会、指導なども行われる。作業終了後は週に2回以上の入浴、夕食となり、午後6時からの余暇時間はクラブ活動やテレビ視聴、通信教育の自習などで過ごす。9時には就寝する。

 矯正は、法律で「資質及び環境に応じ、その自覚に訴え、改善更生の意欲の喚起及び社会生活に適応する能力の育成を図ること」とされている。そのための処遇の柱は、(1)勤労生活で自己の役割・責任を自覚させ、職業訓練や外部通勤も実施する「作業」(2)罪の自覚や健全なものの考え方の育成、薬物依存・暴力団からの離脱や性犯罪再犯防止などの「改善指導」(3)学力の向上によって社会復帰に役立てる「教科指導」。

 近年は施設の過剰収容状態で、定員約6万8000人に対し収容受刑者は約7万人、収容率は101・5%(9月30日現在)。職員1人あたりの被収容者数は13年の3・7人から19年は4・4人と負担が増えている。

 来年度予算の財務省原案では、矯正施設で職員663人の増員が認められたほか、再犯防止でも社会復帰支援対策や更生保護施設への受け入れ態勢整備、職業訓練の見直しなど就労支援体制確立など前年度予算(約6億9000万円)の約4倍が盛り込まれる見込みだ。

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