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2008年12月21日(日) 20時22分

<裁判員制度>国選弁護報酬の基礎額を倍増へ 法務省など毎日新聞

 09年5月に始まる裁判員制度は、市民にわかりやすい法廷戦術など弁護士にも新たな対応を求めており、担当できる弁護士を増やすことが制度の成否を握る大きなカギとなる。とりわけ、制度対象事件の7割を占めるとみられる国選弁護人の成り手の確保は大きな課題だ。財務省は20日に内示した09年度当初予算原案で国選弁護報酬を全体として今年度比7割増としたが、国選弁護人を指名する日本司法支援センター(法テラス)と法務省は報酬の基礎額を従来の倍以上にする方針だ。

 現在の報酬の基礎額は、09年から制度の対象となる事件で事前に争点を絞る公判前整理手続きを行った場合に10万円。これに、公判日数に応じた額が上乗せされる。この10万円の基礎額を、制度スタート後は20万円前後にほぼ倍増させる。被告が無罪を主張したり争点が複雑な重大事件では、基礎額をさらに増額する方針だ。

 09年度当初予算の財務省原案は、裁判員裁判の国選弁護報酬費に14億円を計上し、1件あたりの報酬を46万7000円と見積もった。これを基に法務、財務両省は今後、協議を進め1月をめどに報酬の基準を決める。

 裁判員裁判は原則として連日開廷され、弁護士は閉廷後の被告との接見や証人尋問の方針、法廷戦略の立て直しなど、連日にわたり長時間の作業が求められる。一方で、法廷では、調書など従来の書面中心の審理から、当事者への尋問など市民に分かりやすい口頭でのやりとりを中心とした審理に大きく変わるとみられている。

 全国の弁護士会は、こうした弁護士の新たな役割について研修を通じて理解を求めている。日本弁護士連合会の幹部は「裁判員制度には一般の国民に分かりやすい公判を担える弁護士が不可欠。報酬増額でその人材を確保したい」と話している。【石川淳一】

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