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2008年12月21日(日) 20時04分

米軍、駐アフガン兵力ほぼ倍増へ産経新聞

 【ワシントン=山本秀也】マレン米統合参謀本部議長は20日、訪問先のアフガニスタンで、「2万〜3万人規模」の米軍兵力を来年夏までに同国へ増派する計画を明らかにした。同国には米軍約3万1000人が現在駐留しており、この計画が実施されれば、米軍の現地兵力は最大2倍に増強される。反政府勢力タリバンによる武装抵抗で米軍の犠牲が急増するなか、増派の表明は同国を対テロ戦争の重点とするオバマ次期大統領の戦略を前倒しで打ち出したかたちだ。

 ロイター通信などによると、マレン議長は少なくとも4個旅団の増派計画を示し、「来年春と予測するが、遅くとも初夏までに実現すると思う」と語った。最初の1個旅団は来月現地に派遣されるが、残る部隊派遣の次期や具体的な規模は、オバマ次期大統領が決断することになる。

 アフガン駐留米軍を中心とした国際治安支援部隊(ISAF)のマキャナン司令官(米陸軍大将)は、タリバンの激しい抵抗に対処するため、約2万人の兵力増派を米政府に要請していた。増派が示された兵力は、イラク駐留米軍の削減枠から転用される。

 国防総省のまとめ(19日現在)によると、米中枢同時テロ(2001年)を受けて始まったアフガンでの「不朽の自由」作戦で、米軍の死者はパキスタンなど周辺国での支援活動を含む累計で、558人に達した。年間の死者数も、作戦開始からこれまでで最悪だった昨年の死者111人を今年は9月時点で上回るなど、状況が悪化していた。

 次期政権で留任するゲーツ国防長官は今月11日にアフガンを視察し、タリバン掃討作戦が「長期化することになる」と発言。マレン議長も20日の会見で、「タリバンや過激派の動きは巧妙化している」と述べ、情勢への憂慮を示した。

 オバマ次期大統領は、選挙活動中から、アフガンへの兵力増派を表明していた。同氏の当選を受けて、タリバンとともに反米抗争を続ける国際テロ組織アルカーイダのナンバー2、ザワヒリ容疑者は、同国への兵力増派を次期政権が見合わせるよう警告していた。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081221-00000537-san-int