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2008年12月20日(土) 17時00分

不況で“明”ヤンキース“暗”Rソックス…今オフ補強夕刊フジ

 米大リーグで宿命のライバル、ヤンキースとレッドソックスの今オフ補強作戦が明暗を分け始めている。不況をあざ笑うかのように“現金爆弾”を投下しているヤンキースと、大型野手テシェーラ(28=エンゼルスからFA)の獲得を断念したRソックス。近年、Rソックス優位に展開している両チーム対決の行方に、経済情勢もにわかに影響を与えそうだ。

 首脳陣の交代と松坂大輔(34)、岡島秀樹(32)両投手の加入で戦力アップしたRソックスは、今季破竹の勢いのレイズに競り負けたものの、近年の戦いぶりはライバルのヤンキースにやや水を空けている。

 しかし、今季途中で主砲マニー・ラミレス(36)を放出したことが影響し、ワールドシリーズ連覇には手が届かず。ストーブリーグでは、FA市場の目玉の1人、両打ちの大砲テシェーラの獲得に乗り出したが、辣腕代理人スコット・ボラス氏との160億円(142億円)レベルといわれる契約交渉を断念することを決定した。

 Rソックスは基本的には潤沢な資金を誇るが、オーナーのジョン・ヘンリー氏は投資家で、この不況で数百億円の損失を出したとの報道も。投機の修羅場をくぐり抜けてきた勝負師も、「要求されている8年契約はあまりにも長く高額だ」と珍しく財布の紐を締めた。

 一方のヤンキースは、松井秀喜外野手(34)の故障離脱などからNYのファンの期待に応えられないシーズンの連続。ところが来季は新球場竣工年ということもあり、強烈にFA市場へ資金を投下。CCサバシア(28)、AJバーネット(31)両投手を計2億3400万ドル(約210億円)で獲得した。さらに、年間2500万ドル(約23億円)クラスといわれるラミレスの獲得も狙っている。

 「巷は不況だが、ヤンキースとメッツのあるNYだけは、歴史的に野球ビジネスには体力がある。ヤンキースは関連TV局のYESから毎年70億円の安定収入があるうえ、新球場の建設により税的な優遇措置があるので、経営的に助けになっている。年間収入4億ドル(約360億円)として、通常ならその31%が納税額だが、ヤンキースはこの相当部分を圧縮できている」(ニューヨーク・タイムズ紙)

 他チームの戦力補強が遅々として進まないだけに、ストーブリーグはヤンキースの独壇場。大リーグ不況が、もともとの資金力の差を増幅する結果となり、ヤンキースの巨大化は進む一方だ。

 「それぞれの選手が実力を出しさえすれば勝つはず。その僕もここ数年鳴かず飛ばずなんですが」と先日、東京都内で行われたイベントで語った松井。契約最終年の来年こそ松井もチームも本来の爆発力を出したいところ。対する3年目の松坂は厳しい伝統の対決となる。

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