記事登録
2008年12月20日(土) 15時43分

21年度予算財務省原案 一般会計88兆5480億円 景気浮揚へ大胆に舵 産経新聞

 中川昭一財務相は20日、平成21年度予算の財務省原案を閣議に提出し、各省庁に内示した。予算全体の規模を示す一般会計総額は、20年度当初予算比5兆4867億円増の88兆5480億円で、90兆円台に迫る伸びを示した。世界的な経済悪化で落ち込む国内景気を下支えするため、財政再建よりも財政出動を重視した予算案となった。

 麻生政権は21年度予算で、歳出削減などの財政再建から、雇用対策や経済活性化への積極的な国費投入へと舵(かじ)を切った。閣議後に記者会見した中川財務相は「基本方針を原則守りつつ、危機対応などにめりはりをきかせた予算だ」と自信をみせた。さらに霞が関の埋蔵金といわれる財政投融資特別会計積立金の積極活用について「臨時、異例の措置だ」と語った。

 財務省原案では、政策経費に充てる一般歳出が、基礎年金の国庫負担引き上げや経済緊急対応予備費を盛り込んだことなどから51兆7310億円に膨らみ、初めて50兆円を突破。一般歳出の伸び率としては平成元年度以降最大の9・4%となった。一般会計総額は12年度の84兆9871億円を上回り過去最大。

 地方交付税等は、麻生太郎首相による地方交付税の1兆円積み増し指示などで、9597億円増の16兆5733億円。国債費は今年度と同水準の20兆2437億円とした。

 歳入面は、景気悪化による企業業績の低迷などから税収見込みが7兆4510億円減の46兆1030億円と大幅に落ち込んだ。

 また、その他収入は財政投融資特別会計の積立金などから9兆1510億円を捻出。4兆9917億円の増加となった。特別会計の活用でも足りない歳入不足を補うための新規国債の発行額は33兆2940億円。当初予算ベースでは4年ぶりに30兆円を超えた。

 予算編成にあたり自民党内では、次期衆院選を意識し、支持拡大に向けて財政出動を求める声が噴出した。財務省幹部は「経済状況に応じた非常時の予算」として経済対策費の増加を容認するが、景気低迷が長引けば財政再建の取り組みがさらに後退することになり、国家財政の悪化が懸念されている。

 一方、今回の予算編成では、原案で内容が明示されなかった約3300億円の重要課題推進枠について、麻生首相が原案内示後に決定し、24日に政府案をまとめる。このため、原案段階で社会保障費や政府開発援助(ODA)など分野ごとの予算配分が示されない異例の発表となった。首相周辺は「重要課題推進枠で予算の麻生カラーを出す」としている。

【関連記事・財務省原案】
一般会計、過去最大の88兆5480億円 21年度予算の財務省原案
「景気優先」予算、焦点は推進枠
国民1人の借金455万円
チッソ支援に23億円
裁判員らの日当旅費22億円

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081220-00000097-san-bus_all