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2008年12月20日(土) 15時18分

椎名林檎、10周年で“プロジェクト”転換期産経新聞

 椎名林檎は歌手ではない。と言ったら多くの人はギョッとするだろう。しかし、メディアへの露出を極力抑え、自身を神秘のベールに包み変幻自在・予測不可能な活動を展開しつつ、絶頂期の1990年代には論壇まで巻き込む緻密(ちみつ)なプロモーション戦略を行ったことなどを考えると、椎名林檎とは大がかりな芸術プロジェクトの“名称”だと考えた方が正しいような気がする。

 そんな“プロジェクト”もスタートからはや10周年。その記念ライブを11月29日、さいたまスーパーアリーナで見たが、今回の節目を機に、当人は自らを“作品”から“人間くさいアーティスト”に変貌(へんぼう)させようとしているかに見えた。

 今回のステージの全体的な構成を一言で言えば豪華な歌謡ショーだ。真っ白なタキシードに身を包んだオーケストラ総勢66人とギター、ドラム、ベースというバンドを従え熱唱する椎名だが、「本能」や「歌舞伎町の女王」といったおなじみのヒット曲もロック色より歌謡曲の色彩が濃いサウンドに。

 椎名はシカの角を基調にした巨大なかぶりもので自らを芸術作品にしたてあげる。ビブラートがほとんどない歌唱法は肉声というよりブザーや電子音に近い。人間臭さが希薄だ。

 しかし、今回は、7歳の長男が母、林檎の子供時代をナレーションで紹介するコーナーや兄、純平とのデュエット、さらに80人の大阿波踊り大会まで登場。自らをさらけだしファンとのきずなを強めるための新機軸とみた。プロジェクトは大転換点を迎えているようだ。(岡田敏一)

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