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2008年12月20日(土) 15時01分

<冠水道路>全国に2903カ所 国交省、対策に着手毎日新聞

 鉄道や道路などの下をくぐり抜けるように通り、激しい降雨時に冠水する危険性のある「アンダーパス」道路が全国に計2903カ所あることが国土交通省の調査で分かった。地球温暖化でゲリラ豪雨が多発する中、8月には栃木県鹿沼市のアンダーパスの市道で軽乗用車が水没し、女性(当時45歳)が死亡している。国交省は危険個所を管理する自治体や警察、消防などと連絡体制を整え、来年度から警報システムを整備するなどの本格的な対策事業に着手する。

 調査は、鹿沼市の水没死亡事故をきっかけに初めて行われた。危険2903カ所の管理者別の内訳は▽国90▽都道府県・政令市951▽市町村1862。国交省は「多数を占める市町村は財政状況が厳しく対策が遅れがち」と判断し、国による支援を決めた。

 まず、危険個所の情報を共有化し、冠水の危険性が高まった場合に素早く対応できるようにするため、地方整備局が中心となり、自治体と警察、消防との連絡体制を整備。監視員の養成や配置も検討する。国が管理する危険個所については09年6月までに(1)水位計装備の排水ポンプ(2)水位計と連動する警報板(3)遠隔監視カメラ−−の3点セットを設置する。自治体への支援策としては警告板などの施設整備費を補助事業化する。

 財源は国の2次補正予算に盛り込んだ集中豪雨・震災対策費(約1000億円)を活用。国道・防災課は「夏のゲリラ豪雨期に間に合うよう対策を進める」と話している。

 8月16日に発生した鹿沼市の水没死亡事故では行政側の不手際が露呈。市の担当部署は通行止めを知らせるバリケードを設置せず、消防本部と県警は別の水没事故と混同し、現場に出動しなかった。【高橋昌紀】

■道路の冠水

 危険個所数■

北海道  46( 43)

東 北 218(216)

関 東 666(619)

北 陸 374(370)

中 部 495(487)

近 畿 525(515)

中 国 211(205)

四 国 105( 99)

九州・沖縄 263(259)

※国土交通省調べ。かっこ内は地方自治体管理

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