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2008年12月20日(土) 22時06分

橋下大阪府知事ら歓迎「地方の事情くんでくれた」 大戸川ダム問題 産経新聞

 滋賀、京都、大阪、三重の4府県知事が建設中止を求めていた大戸川(だいどがわ)ダム(大津市)について、20日の財務省原案でダム本体着工に関連する事業費が認められなかったことを受け、流域府県は「地方の実情を酌んでもらった」などと歓迎。一方で、建設を求めていた地元自治体などから「ダムの建設を強く求めていたのに」と落胆の声が漏れた。

 「ものすごくありがたい。地方の実情を、ちゃんとくんでくれた」。大阪府の橋下徹知事はこの日、大戸川ダムの建設関連の事業費が計上されなかったことを受け、歓迎の意を示した。

 ただ、4知事が求めていたダム湖に沈む滋賀県道の付け替え工事費も計上されなかったことについては、「大きな公共工事の撤退ルールについて、きちんと国と協議をさせてもらいたい。復活折衝できちんと予算がつくことを期待している」と強調。その上で「4知事で連携を取って、対応していきたい」と述べた。

 「ダム凍結」を掲げる大戸川ダムの地元・滋賀県の嘉田由紀子知事。知事が示した大戸川ダム建設の中止を求める知事意見が開会中の県議会で審議中であることから、「知事意見について議論をいただいているところであり、ダムの内示についてのコメントは差し控えたい」と控えめな反応を見せた。

 県道付け替え工事費について同県幹部は、「こちらから要求する前に国から先手を打たれた格好だ。正直、ここまで減らされるとは思わなかった」と驚きを隠せない。京都府建設交通部の幹部も「あくまで財務省の考えであり、国土交通省の姿勢の見極めがつかない。ダム建設の休止と周辺地域の整備は別物で考えるべきだ」と話した

 一方、地元として建設を強く求めていた大津市の目片信市長は「知事意見が審議されており、状況を見守っている。大戸川ダムの早期完成に向け努力していく」とコメント。

 ダム建設のために移転を余儀なくされた同市大鳥居地域開発協議会の小林茂宜会長は「自分たちの手が届かないところでいろいろなことが決まっていく。ダム建設を求める気持ちは変わらないが、何をすればいいのか分からない」とやりきれなさをにじませた。

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