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2008年12月20日(土) 22時04分

大戸川ダム、来年度中止へ 本体ゼロ査定産経新聞

 20日に内示された平成21年度予算の財務省原案で、国土交通省の求めた総額10億円の大戸川ダム(大津市)計画について、ダムの地質調査費とダム予定地周辺の付け替え道路費など本体工事の関連費用は“ゼロ査定”となった。これにより、建設中止の可能性が一段と濃厚になった。

 大戸川ダムの本体工事の関連費用が削られたのは滋賀、京都、大阪、三重の4府県知事が建設中止を求めるなど概算要求時から状況が変わったため。財務省は「国交省と4知事の間で十分な協議ができていない。建設是非の判断に少し時間が必要だ」として建設予算を認めなかった。

 大戸川ダムをめぐっては国交省の諮問機関、淀川水系流域委員会が10月に「効果が限定的で不適切」との最終意見書を提出。これを受けて4府県知事が11月、ダム建設の中止を求める共同意見を発表した。

 4府県知事はダム計画撤回後も、付け替え道路建設などを継続するよう求めているが、国交省は「ダムと周辺整備は一体」との立場を崩していない。今回、予算化が認められたのは、すでに一部整備された付け替え道路の維持管理費を含む5億円の関連事業費にとどまった。

 大戸川ダムを含む淀川水系の4ダムのうち地元府県が同意する見通しの天ケ瀬ダム再開発(京都府)、川上ダム(三重県)、丹生ダム(滋賀県)の3ダムの関連費用は盛り込まれた。

 一方、熊本県の蒲島郁夫知事が建設反対を表明している川辺川ダムについても、国交省はダム建設に向けた地質調査費用など34億円を要求し、水没予定地の移転住民の生活再建費として21億円だけが認められた。

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