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2008年12月20日(土) 21時45分

<09年度予算案>政権浮揚へ 首相、背水の景気対策毎日新聞

 08年度第2次補正予算案と09年度予算案の編成で、麻生太郎首相は「景気シフト」を打ち出し、歳出を大きく拡大させた。支持率が低迷する首相は、予算案に盛り込んだ景気対策の実現に全力を挙げ、政権浮揚を図る考えだ。だが、民主党は通常国会の予算審議で攻勢を強め、早期の衆院解散に追い込むことを狙っており、景気対策の実現性、実効性ともに未知数。政権浮揚への道のりは険しい。

 首相は20日の臨時閣議で「国民生活と日本経済を守る強い決意の表れた極めて重要な予算だ」と強調した。

 世界的金融危機を受け、首相は10月に追加経済対策の検討を与党に指示。実質的な丸投げで存在感を発揮できなかったため、予算編成段階では、首相指示を前面に打ち出す戦略に出た。

 1兆円の「経済緊急対応予備費」は、首相自身が「シーリング(概算要求基準)に上乗せする形で何かできないか」と発案。当初は「魔法のようなことができるわけはない」(首相周辺)と首相官邸内にも慎重論が強かったが、押し切った。たばこ増税見送りなどで、指導力の欠如を指摘される場面もあったが、形骸(けいがい)化が指摘されていた予算編成の最終段階で各省大臣が財務相と直接交渉する「復活折衝」も、原則廃止を指示して、首相主導をアピールした。

 首相サイドは来春以降、(1)定額給付金の支給(2)2次補正成立(3)09年度予算成立−−の3点セットを実績として掲げ、総選挙に突入することをもくろむ。

 ただ、財政再建路線から景気対策重視に転換したにもかかわらず、首相が明確に方針転換を説明していないことには、与党内からも「分かりにくい」「景気対策としてのメッセージが弱い」などの声が上がる。ねじれ国会に変化はなく、波乱含みの展開となりそうだ。【古本陽荘】

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