記事登録
2008年12月20日(土) 21時40分

経験・専門性重視の「実務派布陣」、オバマ閣僚人事固まる読売新聞

 【ワシントン=本間圭一】オバマ次期米政権の15閣僚の顔ぶれが19日、固まった。

 人種や性別など多様性に配慮するとともに、経験や専門性を基準にしてライバルをも取り込んだ「実務派布陣」が特徴で、友人関係や“忠誠心”が重要とされたブッシュ政権の人事との違いを際だたせた。

 指名のペースも歴代政権よりも早く、就任直後から重要課題に取り組む姿勢を内外にアピールした形だ。

 オバマ氏は同日、労働長官や米通商代表部(USTR)代表を発表する記者会見で、これまでの指名作業を振り返り、「私は適材適所を心掛けてきた」と語った。

 本紙などの調べによると、指名された閣僚15人全員が公職に就いた経験があり、担当する職務への知識も深く、13人が修士号以上の学位を持つ。閣僚全体が「オバマ大学」と呼ばれるゆえんだ。

 オバマ氏は47歳だが、閣僚の平均年齢は56歳で、クリントン政権の1期目より3歳も高く、「経験重視」といえる。また、9人はクリントン前政権につながる人脈だが、オバマ氏の地元シカゴに関連するのは2人だけで、「友人関係」の活用は最低限に抑えているようだ。ジョージタウン大学のスティーブン・ウェイン教授は「オバマ氏は人事という最初の関門で、ブッシュ政権との変化を訴えた」と見る。

 ブッシュ大統領による8年前の閣僚指名では、行政経験よりブッシュ陣営との関係や大統領選での論功行賞が重要と言われた。選対本部長を務めたドン・エバンス氏は、専門知識の乏しい商務長官に起用された。閣僚14人のうち実業界からの起用は7人に上り、チェイニー副大統領と親しい大手企業社長のポール・オニール財務長官は、指導力不足などで2年足らずで辞任に追い込まれた。

 「適材適所」はブッシュ流人事からの脱却であり、オバマ氏が大統領選のライバルを3人、共和党から2人を登用したのは、その象徴的な試みでもある。

 一方、米メディアによると、19日に終了した閣僚指名は、カーター元大統領以降の歴代政権で最も早いペース。オバマ氏は会見で、その理由として「国家が直面する課題の重さ」を挙げており、1930年代の大恐慌以来と言われる金融危機や、イラクやアフガニスタンでの戦争に機敏に対応したい狙いだ。経済と安全保障分野の閣僚は、国内外に知られた「重量級の人材」(キッシンジャー元米国務長官)を配し、国民の動揺を抑える配慮を見せた。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081220-00000062-yom-int