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2008年12月20日(土) 21時28分

シーリング、帳尻合わせ 埋蔵金活用も限界産経新聞

 景気下支えと歳出削減の取り組みが混在する平成21年度予算財務省原案が20日内示された。新規国債発行を抑制するために特別会計の積立金など「埋蔵金」の積極的な活用に踏み込んだが、すでに埋蔵金活用の限界も指摘されている。社会保障費の増加抑制や公共事業費の削減などを定める21年度予算の概算要求基準(シーリング)の維持にもほころびが生じるなど、財政健全化への道のりはさらに険しくなった。(坂本一之)

 麻生太郎首相は現在の世界的な景気後退に危機感を強め、政府による景気浮揚策の必要性を訴えてきた。第1次補正を含め、これまでにまとめた経済対策の事業規模合計は約75兆円に達し、そのうち財政出動は約12兆円で国内総生産(GDP)比は約2%にのぼる。

 20年度の第2次補正予算案は、生活対策や雇用対策の財源に財政投融資特別会計の積立金から4兆1580億円、地方公営企業等金融機構から3000億円の埋蔵金をそれぞれ捻出(ねんしゅつ)した。今回の21年度予算財務省原案では財投特会の4兆2350億円と、特別保健福祉事業資金から1570億円を財源に繰り入れた。

 こうした埋蔵金の活用額は2次補正と21年度予算で9兆円近くに達する。与党幹部は「借金するより、手持ちの資金を使う方が先だ」と政府による埋蔵金の活用を歓迎する。

 ただ、埋蔵金は無限ではない。基礎年金の国庫負担引き上げの財源として政府は21、22年度については財投特会から賄う予定だが、財務省幹部は「財投特会で2年以上も捻出するのは難しい」と指摘する。

 財投特会の積立金は、特会の総資産に対する比率で、確保すべきとされる積み立て目安の5%を繰り入れで割り込み、21年度末には3・5%に落ち込む見込みだ。中川昭一財務相は20日の記者会見で、積極的に特会を用いたことを「ぎりぎりの判断」と強調した。

 一方、政府・与党は社会保障費2200億円の自然増抑制のため、たばこ税増税を検討したが、結局は見送りとなった。埋蔵金活用でシーリングの帳尻は合わせたものの、安定財源は確保されず、実質的な歳出削減は後発医薬品(ジェネリック医薬品)利用拡大による230億円だけ。1兆円の経済緊急対応予備費新設などもあり「シーリングは限界に達した」(政府関係者)とみられている。

 しかし、財務省幹部は「シーリングを撤廃したら無制限な歳出圧力にさらされる」とみており、多少のほころびがあってもシーリング維持が必要不可欠だと主張する。

 経済情勢が急速に悪化する中で、来年の22年度予算編成ではさらに難しい財源措置が予想される。政府が23年度としている基礎的財政収支(プライマリーバランス)の黒字化は極めて困難となっており、新たな財政再建目標の策定を迫られそうだ。

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