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2008年12月20日(土) 20時39分

3300億円ぶんどり合戦 来年度予算案産経新聞

 平成21年度予算財務省原案が20日内示されたが、3300億円の「重要課題推進枠」の配分が残されており、各省庁による激しい“分捕り合戦”が続いている。推進枠は政策効果の高い事業に予算を重点配分するもので、従来の財務省主導の慣例を打ち破り、麻生太郎首相自ら配分を決定する来年度予算の目玉だ。それだけに、国民のわかりやすい効果的な施策を打ち出せず、単なる“バラマキ”の上乗せになれば、政権の支持率や求心力がさらに低下するのは必至だ。

 麻生首相は20日、「今後『生活防衛』や『地方の底力』に重点を置いた重要課題推進枠に関する指示を行い、最終的な予算を24日に仕上げたい」とのコメントを発表し、“麻生カラーへの意気込みを示した。

 推進枠は公共事業費や科学技術振興費など各政策的予算を一律2%減らし、その分を(1)成長力の強化(2)低炭素社会の構築(3)安心できる社会保障(4)質の高い国民生活の構築−といった分野に配分する仕組みだ。

 首相自ら配分を決めるが、18日の中川昭一財務相と各省庁との閣僚折衝では要望が殺到。「住宅・不動産市場の活性化緊急対策」(国土交通省)や「消費者庁設置経費」(内閣府)、「アジア経済・環境共同体事業」(環境省)などのほか、人員増員のような便乗要望まで出され、争奪戦に発展している。

 河村建夫官房長官は、20日の会見で「雇用に重点を置くなどの見方で総理流の決断をしていくのではないか」と述べ、雇用対策などを中心に配分するとの見方を示した。

 ただ、各省庁はこれまでの緊縮予算で不満が鬱積(うっせき)しており、総選挙を控えた自民党の族議員の後ろ盾を得て、一円でも多くの予算を分捕ろうと虎視眈々と狙っている。

 省庁や与党の歳出圧力に押され、景気対策を名目にした単なる公共事業の積み増しなどバラマキ色の強い配分に終わる懸念はぬぐえない。将来の経済成長や国民生活を豊かにする分野に配分できるのか。中川財務相が表現した「大胆実行予算」の実現は、麻生首相の手腕にかかっている。

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