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2008年12月20日(土) 20時09分

露、国産車保護に躍起 日本製中古車締めだしで極東猛反発産経新聞

 【モスクワ=遠藤良介】ロシアのプーチン首相が国内自動車産業の保護を目的に決めた中古車の輸入関税引き上げに対し、日本製中古車が人気の極東部の住民が猛反発している。中古車の輸入拠点であるウラジオストクでは14日に引き続いて20日にも大規模デモが発生し、金融危機が深まる中で社会不安が表面化してきたとの見方も出ている。

 問題となっている政令は、これまで約25%だった輸入中古車の関税を来年1月11日から30%以上に引き上げる内容。国の西部に集中する国産メーカーや外国メーカーの現地工場に、操業縮小などの動きが広がっていることを受けた措置だ。

 これに対し、日本製中古車が9割以上を占めるウラジオストクでは14日に数千人規模のデモが発生し、動きはシベリア各地まで波及した。ウラジオストクでは20日の1000人規模のデモで数十人が拘束されており、デモ主催者は21日にも鉄道封鎖などの行動を予告している。

 同市など沿海地方では約20万人が中古車関連の仕事に携わっており、関税引き上げは死活問題とみられていることが背景にある。

 他方、国産メーカーの工場がある西部のウリヤノフスクやトリヤッチでは18日、保護関税を支持する従業員らが大規模な対抗デモを組織した。プーチン首相は19日、国産車を鉄道で各地に移送する際の費用を政府が負担、国産車をクレジットで購入する際の利子を補助する措置を発表し、国産車価格の高い東部の住民をなだめようと躍起になっている。

 ロシアではソ連崩壊後、一貫して外車が増え続けており、国産メーカーの販売シェアは3割にも満たない。極東部やシベリア東部では「安価で高性能」と日本製中古車が主流になっている。

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