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2008年12月20日(土) 19時58分

阪神大震災に耐えた「神戸の壁」 淡路島に再移設が完了産経新聞

 阪神大震災で倒壊せず、その後、震災の“生き証人”として神戸市長田区から兵庫県淡路市に移されていた「神戸の壁」が、震災を後世に伝える北淡震災記念公園(淡路市小倉)に再移設された。公園内にある「野島断層保存館」の城本正守館長(77)は「地震で現れた野島断層と同じ場所に壁が存在することに、大きな意義がある」としている。

 神戸の壁は幅14メートル、高さ7メートルで厚さ30センチ。昭和2年に神戸市長田区の若松市場の防火壁として建てられた。同20年の神戸大空襲でも倒壊を免れ、焼け焦げた跡が残っていた。

 神戸市の再開発事業に伴って地元が移転先を募集。旧津名町(現淡路市)に決定して平成12年、町内の空き地に移され、震災関連のイベントなどで利用していた。

 淡路市ではこのほど、震災の記憶を風化させず、犠牲者を追悼するメモリアルとしての役割に着目、1900万円をかけて野島断層保存館横への再移設に踏み切った。市は近く、壁の周囲に芝生を敷き、壁の歴史を伝えるパネルも展示。震災から丸14年目となる来年1月17日に、テープカットを行う。

 北淡震災記念公園は保存館のほか、断層上の民家を保存したメモリアルハウス、震度7を体感できる震災体験館などがあり、防災教育の拠点となっている。

 城本さんは「野島断層とともに、災害の生々しいツメ跡を今まで以上に多くの人に見てもらうことができる。神戸の被災者も大勢訪れているだけに、この地で防災や命について考えるきっかけになれば」と話している。

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