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2008年12月20日(土) 19時37分

「反麻生」(?)の自民議員らが集結した中国料理店産経新聞

 ■過門香 赤坂溜池山王店(東京都港区赤坂)

 首相官邸西側の地下鉄南北線「溜池山王駅」から「ANAインターコンチネンタルホテル東京」方向にに進み、六本木通りに出た場所にある。衆院赤坂宿舎から徒歩2〜3分の至近距離にあるため、国会議員が利用しやすい。店内は高級感を漂わせつつ、現代風のインテリアで統一されている。昼は千円台で食べられるお手ごろなセットもある。

 ちなみに、同店のホームページによると、「過門香」とは、門の前を通り過ぎようとする人々が漂う香りに惹(ひ)きつけられ、思わず門をくぐってしまう様子を表現している言葉だという。

 11月26日夜、この店で、自民党の中堅・若手議員有志で構成される「速やかな政策実現を求める有志議員の会」が忘年会を開いた。同会には、塩崎恭久元官房長官、茂木敏充前行革担当相、渡辺喜美元行革担当相らが参加。忘年会の5日前の11月21日に国会内で、河村建夫官房長官と面会し、平成20年度第2次補正予算案を臨時国会に提出するよう申し入れた。

 この申し入れの時点で、すでに政府は2次補正の臨時国会提出を見送り、来年の通常国会に提出する方針を固めていた。このため、申し入れは麻生政権に反旗を翻したかっこうになり、同会の動きはにわかに脚光を浴びることになった。

 しかし、同会への自民党内の風当たりは強かった。25日昼の自民党町村派の幹部会では、有志議員の会に対する批判的な意見が続出。26日朝の自民、公明両党幹部の会合では、公明党側から、「この時期に、自民党内で麻生内閣を支える姿勢が必要だ」と、自民党に対する注文がついた。有志議員の会をはじめとする自民党内の「反麻生」的な動きへの懸念を込めた注文だったとみられている。

 また、忘年会の翌日の27日の自民党津島派総会では、派閥会長の津島雄二元厚相が、同派所属の茂木氏がこの申し入れに加わっていたことについて、「2次補正をめぐる党、政府の対応にいろいろ動きがあったのはご承知の通りだ。本当に来年度の予算と、それとつながる第2次補正で勝負をしなければならない。きちっと議論せずに、あれがいい、これがいいとやるのは、政権の責任がない人はできるでしょうが、私たちは裏付けのある政策を打ち出して、国民に理解、納得してもらう責任を持っている。そういう意味で、軽々に第2次補正をすぐ出すのが景気対策だという議論に、皆様方が動揺されることはないと思っている」と有志議員の会への皮肉をたっぷりと込めたあいさつをした。

 こうした与党内の雰囲気を反映して、忘年会では、2次補正の提出時期について、「提出先送り」という麻生首相の意向を踏まえた意見が大勢だったという。

 忘年会終了後に、塩崎氏らは店の前で記者団に囲まれた。「有志議員の会の動きは倒閣運動につながる、という見方もある」と質問されたのに対して、塩崎氏は「それはまったく違いますね。何しろ国民生活、国家、国民のためにプラスになることを徹底的に議論して実現していこうということですから、麻生内閣にがんばってもらわなければいかんでしょ。倒閣とかそんなのとはまったく関係ない話だ」と全面的に否定した。塩崎氏は有志議員の会の活動が政策中心であることを強調したわけだが、いじわるな見方をすれば、党内の反発を気にして、すっかりおとなしくなってしまったようでもある。

 ただし、出席した議員によると、一部のメンバーからは、なおも2次補正の早期の提出を探っていくべきだという意見も出たという。

 また、メンバーの一人、渡辺氏は12月に入ると、政界再編や首相退陣のシミュレーションを披露するなど、その発言は過激さを増している。

 自民党内には、有志議員の会のほかにも、麻生首相と距離を置く議員らのグループがいくつかある。これらの議員らは、年末の予算編成の時期から来年前半の国会での予算案審議、そして予算成立までの間は、経済対策優先という建前からも、なかなか「反麻生」的な行動は起こしにくいだろう。ただ、予算案審議の途中で、麻生内閣が立ち往生するような事態に陥ったら、話は別だ。また、予算成立後から来年9月にかけて、いよいよ衆院解散の機運が高まってくれば、衆院選後を見据えて、倒閣、離党、新党…といったさまざまな「政局」的な動きが本格化してくることになるだろう。(政治部 五嶋清)

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