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2008年12月20日(土) 00時52分

キトラ壁画を陶板で復元、平城遷都1300年祭に合わせ公開へ産経新聞

 「朱雀」や天文図などすべての壁画がはぎ取られたキトラ古墳(奈良県明日香村、特別史跡)について、文化庁が、壁画の描かれたはぎ取り前の石室内の状況を原寸大の陶板で復元する方針を決めたことが19日、分かった。来年度に製作し、平成22年に開かれる平城遷都1300年祭にあわせて公開する計画。実際の石室からは壁画は失われたものの、極彩色の世界を追体験できる貴重な場になりそうだ。

 同古墳の石室(奥行き2・4メートル、高さ1・2メートル、幅1メートル)には、四方の壁に「朱雀」「青龍」「白虎」「玄武」の四神像をはじめ、「子(ね)」など十二支を表現した獣頭人身像、天井には世界最古ともいわれる天文図が描かれていた。

 しかし、青龍などは下地の漆喰(しっくい)層が壁石から数センチも浮き上がり、剥落(はくらく)寸前だったことから、16年8月から壁画のはぎ取りに着手し、今年11月に天文図を最後に作業を終えた。

 現在の石室は、絵画がはぎ取られた部分は石材が露出し、穴が空いたようになっている。

 壁画は、すでに白虎などが一般公開されているが、同庁は、はぎ取られる前の石室の様子を後世に伝えようと、石室内の質感をリアルに表現できる陶板を使用。石室内の写真を陶板に焼き付けるなどの案が検討されている。

 キトラ古墳石室の陶板復元について同庁記念物課は「具体的な復元方法や場所は今後検討し、1300年祭のタイミングで公開したい」としている。

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