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2008年12月19日(金) 23時23分

<ビッグ3>GMとクライスラーに緊急融資 年内破綻回避毎日新聞

 【ワシントン斉藤信宏】ブッシュ米大統領は19日、ホワイトハウスで声明を発表し、難航していた米自動車大手3社(ビッグ3)に対して緊急融資を実施する方針を発表した。米メディアによると、ゼネラル・モーターズ(GM)とクライスラーを対象に、174億ドル(約1兆5000億円)を2回に分けて融資する。ビッグ3は、政府融資を受けることで、数カ月間の事業存続に必要な資金を確保できる。融資を受ける見返りに、抜本的なリストラの実施を確約したものとみられる。

 融資の決定で、ビッグ3の経営危機はひとまず回避された。ただ、米国内では自動車販売の急激な減少が続いており、今後も厳しい経営環境は続きそう。

 融資は、金融安定化法に基づく公的資金7000億ドル(約63兆円)から資金を拠出して実施される。フォード・モーターは、資金繰りに余裕があるため、緊急融資の対象には入っていない。

 ビッグ3救済をめぐっては、救済法案が先週末、米議会上院で共和党の反対などで廃案となり、世界経済に深刻な影響を及ぼすと懸念されていた。ブッシュ大統領は「自動車大手の無秩序な経営破綻は米国経済を崩壊させる恐れがある」と指摘。「オバマ次期大統領が就任直後に大型破綻に直面するようなことがないようにしないといけない」と問題を次期政権に積み残さない意向を表明していた。

 ブッシュ大統領やポールソン財務長官はこれまで、金融安定化法に基づく公的資金による自動車業界の救済に一貫して慎重姿勢を示してきた。議会民主党との協議の中でも、一旦はエネルギー法に基づく140億ドルの融資を実施することで合意したが、上院共和党の反対派を説得できず、結局、金融安定化法での融資を選択せざるを得なくなった形だ。

 ◇ことば 金融安定化法

 総額7000億ドル(約63兆円)の公的資金で金融機関の不良資産を買い取るための法律。米大手証券リーマン・ブラザーズが破綻(はたん)した9月以降、急速に広がった金融危機を食い止めるのが狙い。「なぜ大もうけしてきた金融機関を税金で救うのか」との世論の反発が強かった上、議会での審議が米大統領選、上下両院選前だったことから、下院は1度、法案を否決した。その後、政府の判断だけで使える額を3500億ドルに限定し、残りを使うには議会承認がいるなどの修正を加え、10月3日、成立した。

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