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2008年12月19日(金) 20時17分

<政府経済見通し>市場に不満「認識甘すぎる」毎日新聞

 政府は19日、09年度の実質成長率見通しを約7年ぶりにゼロ(0.0%)成長とする経済見通しを発表した。しかし、金融危機後の景気後退の深刻化を受けて、民間シンクタンクは軒並み1%程度のマイナス成長を予測しており、「非現実的なシナリオ」(大手証券エコノミスト)との見方も強い。日本経済は、この日決定した雇用対策や政策減税を柱とする「生活防衛のための緊急対策」による景気下支え効果を見込んでも、ゼロ成長さえ見通せないのが実情だ。

 「来年度の日本経済はゼロ成長と厳しい。(緊急対策の裏づけとなる)08年度補正予算案と09年度予算案の早期成立が重要だ」−−。麻生太郎首相は19日午前の経済対策閣僚会議で、こう強調した。総額2兆円の定額給付金や過去最大規模の住宅ローン減税、大企業・中堅企業にも広げた資金繰り支援。公的資金による20兆円規模の株式買い取りも追加した。これで、福田前政権以来の政府の経済対策の事業規模は、総額75兆円にも膨らんだ。

 しかし、麻生政権が策定した「生活対策」(事業規模26.9兆円)や「生活防衛対策」(同37兆円)は、年明けの通常国会で08年度補正予算や09年度予算が成立しないと実行できない。国会審議に時間がかかれば、雇用不安などで日本経済が最も厳しい状況に落ち込むとみられる08年10〜12月、09年1〜3月に間に合わない。

 米国を中心とする海外経済の後退の底打ちが見えず、輸出は減少し、国内も生産調整が本格化。それに伴う人員削減で個人消費も冷え込む内外需総崩れの状況の中、市場では「政府の経済認識は甘過ぎる」との不満が広がっている。【尾村洋介】

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