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2008年12月19日(金) 11時56分

<無保険の子>中学生以下を救済 改正国保法成立 来春施行毎日新聞

 国民健康保険(国保)の保険料滞納によって生じた「子どもの無保険」問題で、中学生以下の子どもを一律に救済する改正国保法が19日、参院本会議で全会一致で可決、成立した。厚生労働省調査(9月15日現在)で判明した無保険の子は全国で約3万3000人を数えたが、来年4月以降、子どもには保険証を無条件で交付し、医療を保障する。

 改正法は、市町村に対し、滞納世帯でも義務教育以下の子どもは通常の保険給付が受けられるよう、期限6カ月の短期保険証を交付することを新たに義務付ける。

 国保は、世帯単位で保険証を発行する。現行法が、保険料を1年以上滞納した世帯には保険証を返還させ、給付停止としたことが無保険の子の問題につながった。このため改正法は世帯単位の原則を一部で見直し、義務教育以下は一律に給付停止の除外対象とした。

 一方、今回の改正が保険料の滞納を助長しないよう、市町村に対して、滞納者からの徴収を確保するための「必要な措置」を講じるよう定めた。給付が増加する分の国から自治体への財源措置は見送られており、今後の課題となる。

 無保険の子をめぐっては先月27日、民主、社民、国民新の野党3党が「18歳未満」に一律に通常の保険証を交付する独自の改正案を提出した。与党も今国会中の改正の必要性で一致し、対象年齢を義務教育以下とし、交付する保険証を短期保険証にすることで合意。全党一致の委員長提案で早期決着を図った。

 運営主体の市町村では、大阪市や札幌市など多くの自治体が、法改正前に独自の救済に踏み切った。世帯単位の原則との関係で、子どもだけへの保険証の交付は「法令違反の疑いがある」との指摘もあったが、改正法で法的な裏づけを得たことになる。施行は来年4月1日。「年末年始に入ってしまえば、子どもが困ることになる」(盛岡市)など、前倒しの保険証交付の動きも出ている。【竹島一登、平野光芳】

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