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2008年12月19日(金) 00時07分

NICUを最大800増床 周産期医療で厚労省が改革原案中国新聞

 妊婦の救急搬送体制の改善を検討している厚生労働省は十八日、慢性的に不足している新生児集中治療室(NICU)を全国で最大八百増床することや、妊婦のあらゆる疾病について二十四時間対応できる大規模施設の整備などを柱とした周産期医療体制をめぐる改革のたたき台となる原案を、同省の専門家会合(座長・岡井崇おかい・たかし昭和大教授)に提示した。

 原案の文言などをめぐって委員から修正要請が相次いだため、同日中の取りまとめは見送られたが、大筋で了承される見通し。専門家会合は次回会合を来年一月中に開き、報告書の作成を目指す。これを受けて厚労省は来年度にも実現に向けた取り組みを始める方針。

 原案は、現行で「出生一万人当たり二十床が必要」としているNICUを二十五—三十床に増やすとしている。これにより全国に約二千二百あるNICUが最大で八百床増床される。

 また、大規模施設は救命救急センターを併設するなど、診療科を問わず二十四時間にわたりすべての妊婦を受け入れる。必要な財政支援や診療報酬上の措置を取るよう求めている。既存の周産期母子医療センターは産科と新生児医療に重点を置いており、脳内出血など母体救急に対応できない施設が多いことを踏まえた。

 このほか(1)医師の確保のため、時間外勤務や救急呼び出し対応への手当を医師に直接支給する(2)公立病院の医師が必要に応じて他の医療機関でも働けるよう公務員の兼業禁止規定を見直す(3)地域のニーズに見合った周産期母子医療センターの配置を年度内に検討する—などが盛り込まれた。

 専門家会合は、十月に東京で妊婦が複数の病院に受け入れを断られた末に死亡した問題を受け、再発防止策などを検討するために設置された。

http://www.chugoku-np.co.jp/News/Sp200812190112.html