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2008年12月19日(金) 14時18分

22万円払っても1年以上放置する朝日ホームロイヤーの“過払いビジネス”MyNewsJapan

 「過払い金返還代理人」をうたい、多重債務者向けの宣伝活動を展開する司法書士法人「朝日ホームロイヤー」(東京都新宿区、奥出欣二代表)をめぐり、四国地方の女性が22万円もの費用を支払ったにもかかわらず、7ヶ月で5人も担当者が替わるたらい回しにあった挙句、1年以上も事実上放置されていたことが明らかになった。

 女性は「ロイヤー」の誰とも会ったことがないという。折りしも東京国税局は先日、「債務整理」を手がける都内の司法書士を2億4000万円の脱税容疑で告発した。「法律家」の看板を悪用した「過払いビジネス」のモラルなき実態が問われている。

 「ようやく債務整理ができると信頼してお願いしたんですが…。自分のバカさ加減を反省しています」

 そう嘆くのは、香川県内で事務職の派遣社員として働くAさん(独身女性、42歳)だ。クレジットカードやサラ金の借金が膨らみ、行き詰ったのは昨年5月。解決方法はないかとインターネットを探すうちにたどり着いたのが、朝日ホームロイヤーのホームページだった。

 「過払い金返還代理人」「多重債務者救済」「過払い金返還のスペシャリスト」——。掲げられた宣伝文句が、Aさんには頼もしく見えた。ホームぺージに記されたアドレスにメールを送ると、すぐに返信のメールがきた。「担当」という女性H氏からだ。
 
 〈お電話してもよろしい時間をお知らせいただけましたら、詳しいお話をお聞きいたしまして、債権者との対応を早急に勧めさせていだたきたいと存じます。(原文ママ、後略)〉

 丁寧な文面も好感が持てた。ただひとつひっかかったのは所在地だ。ロイヤーの事務所は東京・神田(後に市ヶ谷に移転)にある。派遣社員として働くAさんの月給は15万円。東京と香川を往復するような余裕はない。

 心配をよそに、メールにはこう書かれていた。

 〈当事務所におきましては、債務整理の場合には、債権者との交渉は電話や郵便、FAXなどで行いますし、司法書士との相談についてもEメールや電話ですることが出来ますので、当事務所にお越しいただく必要はありません〉

 「東京に行かなくてもいいのか…」

 Aさんは委任することを決心し、メールでH氏に伝えた。借金地獄からやっと解放される。肩の荷が下りた気分だった。

 負債総額は300万円あまり。クレジット会社4社からの借金だ。300万円といっても、すべて利息制限法を超えたグレーゾーン金利だから、利息制限法(年利15%〜20%)で再計算した金額はもっと少ない。返済を終えてもなお払い過ぎている、「過払い」の可能性も高かった。

 訴訟や調停を使った自力での債務整理も可能だが、Aさんは法律に暗い。ロイヤーだけが頼りだった。

 やがて届いた書類に、指示通りに記入して郵送した。数日すると「担当」事務員のH氏から電話がかかってきた。H氏は明るく「経費が16万8000円かかります」と言った。Aさんはすぐに手付金の1万円を送金する。さらに、後日、残金を払った。

 実は、Aさんはロイヤーの職員の誰一人として会ったことはない。司法書士とはメールや電話で言葉を交わしたことすらない。

 これは、奥出代表が所属する東京司法書士会の「多重債務処理事件に関する規範規則に違反する。同規則第5条には、「会員は、事件を処理するにあたって、依頼人に面談することなく、電話、郵便、電子メール等だけにより事件を処理してはならない」とある。

 だが、そんなことをAさんが知るよしもない。ましてや、1年以上も未解決のまま放置同然の仕打ちに遭うなど、思いもよらなかった。

 「多重債務で困っている方々から依頼を受けて、借金問題を解決して、これらの方々の生活再生の実現のため、法律専門家が携わり努力しております」という朝日ホームロイヤーの言葉を信じていたのだ。

(三宅勝久)


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