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2008年12月19日(金) 13時58分

三井不動産、自民に2千7百万の違法献金で“マンション補助金”14億円の税金還流MyNewsJapan

 2004〜2007年の間に国交省の「21世紀都市居住緊急促進事業補助金(略称21緊促)」という補助金を受けた企業のうち大手企業12社が、自民党の政治資金団体「財団法人国民政治協会」などに「違法献金」していたことが情報公開請求文書で判明した。

 不正の舞台となった国交省の補助金「21緊促」とは、1998年に「21世紀にふさわしい、ゆとりある生活空間の実現を図る」という目的で、マンションの建設費の一部を充てるためにできた補助金。一言でいうと高級マンション向けの補助金である。

 21緊促は国交省の補助金なので国の補助金になるわけだが、政治資金規正法では、国から「利益を伴う」補助金を受け取った企業は、補助金の交付決定日から1年間、政治献金が禁じられている。利益を伴う補助金とは「試験研究、調査又は災害復旧に係るものなど、性質上、利益を伴わないものを除いた補助金」を指す。

 違反に献金した時の罰則は、献金をする方、される方どちらも「3年以下の禁固又は50万円以下の罰金」(同法第26条の2)に処されることになっている。

 21緊促は、試験、研究などとは違い、補助金の入ったマンションを販売して企業は利益を得ているので、利益を伴う補助金に当たる。

 この補助金の支出先の企業名を知るため、国交省に取材したところ「公開していないので教えられない。知りたい場合は情報公開して下さい」の一点張りだった。そこで、過去4年分の情報公開請求をしたところ、誰もが聞いたことのある大企業の名がズラリと並んだ文書が出てきた。

 情報公開請求でわかったことは、21緊促の総支出額は2004年〜2007年度の4年間で総額105億8078万7千円。そのうち、法律で禁じられている補助金を受けて1年以内に政治献金を行っている企業に対する補助金総額、つまり、違法補助金の額は、なんと3割以上にあたる36億932万3千円にもなっていた。これは簡単にいうと、国交省から大企業→政治家へと税金が36億円以上も還流されていたということだ。

 また、各企業の「補助金受け取り総額」を調べたところ、補助金を最も受け取っていたのはマンション業界最大手「三井不動産」だった。不正補助金の受給総額は14億7752万7千円に上る。もちろん、これは全て我々の税金である。三井不動産は受け取った補助金を自民党の政治資金団体「財団法人国民政治協会」に総額2700万円も「違法献金」していた。

 21緊促で三井不動産が建てたマンションは、たとえば、10億円以上もの補助金を受け取って東京都港区内に建設した「芝浦アイランドグローヴタワー」という地上49階建・総戸数833戸の超高級タワーマンションなどがある。

 三井不動産のHPによると芝浦アイランドグローヴタワーは「テラス付きのゲストルーム」や「フィットネスルーム」「ガーデンコテージ」「テニスコート」「バーベキューパーティーができるアクアテラス」「約250坪芝生広場」「30階に設けたレインボーブリッジやお台場を望むビューラウンジ」「ライブラリーのあるカルチャールーム」「居住者専用のコンビニエンスストア」など至れり尽くせりで、新築時の販売価格は最高「2億3,000万円」という庶民には縁遠いタワーマンションである。

 こうした高級マンション補助金を受け取り違法献金していたことについて、三井不動産の広報の担当者に「政治資金規正法に抵触しているのではないですか?」と質問をぶつけたところ、三井不動産は「21緊促は政治資金規正法にある「利益を伴わない」補助金にあたるので規制の対象外になるものと考えている」という趣旨の回答をFAXで送ってきた。しかし、前述のような高級タワーマンションの建設費に充てられた補助金が利益を伴わないと言うのは、苦し過ぎる言い訳だ。

 日本が法治国家というのなら、法にのっとり企業に罰則を適用し、21緊促のような違法がはびこる補助金の支出先も国民にすべてオープンにすべきではないだろうか。
(佐々木 奎一)


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