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2008年12月19日(金) 08時03分

参院厚労委 野党、雇用4法案を可決 強行採決で対立激化産経新聞

 民主、社民、国民新の野党3党が共同提案した雇用関係4法案をめぐり、岩本司委員長(民主)が職権で決めた採決を強行し、民主などの賛成多数で可決した。自民、公明両党と共産党は棄権した。民主党は19日の参院本会議でも可決し、衆院送付する考えだが、与党は衆院で審議入りせず廃案にする方針だ。民主党が求める麻生太郎首相と同党の小沢一郎代表の党首会談も実現のめどは立たず、与野党の対立は激しさを増すばかりだ。

  ■写真で見る■ マイクの取り合いまで…参院厚生労働委員会で与党の議員らが委員長席に詰め寄った

 ◆与党は廃案方針

 参院厚生労働委員会は18日、「民主党は強行慣れしていない。これでは“狂行(きょうこう)”採決だな…」

 参院自民党の幹部は18日夕、厚労委での強行採決を受け、こう揶揄(やゆ)した。ねじれ国会での与野党が攻守逆転した強行採決は最後までドタバタぶりだけが目立った。

 18日夕の参院厚労委。4法案をめぐる2時間半の審議を経て、岩本委員長が審議終了を宣言すると自民、公明両党の議員が委員長席に詰めより「採決無効」を訴えた。怒号が飛び交う中、委員長は採決を強行し「賛成多数」を認定した。

 ただ議場で社民党委員がソワソワと席を立つ場面が目立ち、与党側は「定足数にたりず、委員会が成立していない瞬間が多々あったはずだ」と主張。さらに「与党は全員が離席し採決を棄権した。賛成多数はおかしい」と可決認定の不備を指摘し、各党が夜まで可決の正当性をめぐって協議する事態となった。自民党の鈴木政二参院国対委員長と公明党の風間昶国対委員長が江田五月参院議長に抗議と法案差し戻しを申し入れた。だが議長は「正規の手続きを経ており差し戻すことはできない」と語った。

 自民、公明両党は、野党側の強行採決の対抗措置として、ただちに西岡武夫参院議院運営委員長と岩本委員長の解任決議案を参院に提出したが、19日の参院本会議で野党の反対多数で否決される見通しだ。

 ◆党首会談は一蹴

 一方、雇用関係4法案の参院通過を見越して、民主党の鳩山由紀夫幹事長は国会内で自民党の大島理森国対委員長、公明党の漆原良夫国対委員長と会談。鳩山氏は4法案の成立に向け与党側に協力を求めるため、麻生首相と小沢代表の党首会談を呼びかけたが、与党側は一蹴(いっしゅう)した。麻生首相も18日夜、党首会談については「法案を審議すべき場所は国会だ。党首会談でというような種類の話ではない」と慎重な姿勢を示した。

 麻生首相や与党のこうした対応について、小沢氏は周辺に「日本の現状を分かっていない。国民生活はどうでもいいっていうことだな」と淡々と語った。

 小沢氏は衆院解散・総選挙に向け、来年の通常国会を主戦場と位置づけている。参院で雇用関連4法案の強行採決を指示したのもその一環で、「雇用問題に後ろ向きな麻生政権」というイメージを国民に植え付けようとする思惑があったからだ。ただ、民主党の「強行採決ありき」の姿勢には共産など野党内でも不満がくすぶっており、野党共闘の足並みが乱れる可能性もある。

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