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2008年12月19日(金) 23時58分

ビッグ3に174億ドルつなぎ融資 米政府が救済策発表産経新聞

 【ワシントン=渡辺浩生】米政府は19日、経営危機に陥っているビッグスリー(米自動車3大メーカー)に対して、金融安定化法の公的資金枠から174億ドル(約1兆5500億円)のつなぎ融資を供与する救済策を発表した。うち134億ドルを近く実施する。対象はゼネラル・モーターズ(GM)とクライスラーの2社となる見通し。金融安定化法に基づく融資が金融機関以外に適用されるのは初めて。これにより、年内に融資を受けなければ資金繰りに行き詰まるとしていたGMとクライスラーは、年内破綻(はたん)を回避できる見通しとなった。

 両社は今後、融資を受ける条件として、全米自動車労働組合(UAW)との労働協約を見直し、さらなる人件費の削減などを盛り込んだリストラ計画を3月31日までに提出することになる。抜本的な再建は年明けに招集される新議会で検討され、オバマ次期政権の判断に委ねられる。

 ビッグスリー支援をめぐっては、最大140億ドルのつなぎ融資を柱とする救済法案が今月11日の上院審議で廃案となった。このため、ホワイトハウスは、金融安定化法の7000億ドルの公的資金枠の適用を検討する方針を示し、財務省がビッグスリー首脳らと協議に入っていた。

 当初、米政府は金融安定化法の適用を否定していたが、GMとクライスラーが破綻に追い込まれれば、後退局面にある米経済を「一段と不安定化させる」(ペリーノ大統領報道官)可能性があると判断、最終的に方針を転換した。

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