記事登録
2008年12月19日(金) 23時34分

公営住宅提供、職員臨時採用… 師走不況で自治体に広がる救済策 産経新聞

 世界的な不況で企業業績が急激に悪化し、派遣社員らの「派遣切り」や「雇い止め」が相次いでいる事態を受け、臨時職員の採用や公営住宅の優先貸し出しなど、西日本の自治体でも救済策が広がり始めた。ただ、多くの自治体も財政事情は厳しく、一時的な措置がほとんどだ。担当者の1人は「とにかくまずこの年末年始を何とか乗り切ってもらいたい」と話す。

 同志社大学京田辺キャンパスなどがある京都府京田辺市は、内定が取り消された大学生らを対象に、市職員を若干名追加募集する方針を決めた。すでに他府県も含め40〜50件の問い合わせがある。担当者は「社会情勢を深刻に受け止めている」と話した。

 兵庫県姫路市も、定期採用試験とは別に来年4月に採用する職員を追加募集する。問い合わせが相次ぎ、担当者は「これまでとは違う熱気が感じられる」。同県加西市は、原則3年の任期付き管理職(課長級)を計4人採用する。

 一方、自動車メーカーなどで働く日系ブラジル人ら外国人労働者が多く住む滋賀県湖南市。10月ごろから、解雇された外国人らから市営住宅の入居についての問い合わせが急増、毎年6月に行っている募集を2月に前倒しする。しかし、市営住宅は現在、5戸しか空いておらず、10倍以上の倍率になる見込みという。

 自動車メーカー「マツダ」が派遣社員を削減した影響を受ける広島市も、職を失った派遣社員らに市営住宅7戸を貸し出す。市には、元派遣社員らからの生活保護申請が相次ぎ、18日現在で元派遣社員からの申請37件のうち、29件がマツダ関連で14件の支給が決まった。今後、定額給付金の交付作業に、元派遣社員らを臨時職員として優先的に採用することも検討する。

 京都府も、府営住宅の空き部屋約100戸を供給。今後発注する公共工事では、人手をかける手法を選択することで雇用創出も模索。人口の少ない府北部では、情勢がより深刻さを増す可能性が高まっており、出先機関では除雪作業や独居高齢者宅の雪下ろし、地域の防犯活動で臨時雇用するアイデアも浮上している。

 大阪市も元派遣社員らを対象に市営住宅の空き部屋50戸を最大2年間、優先的に貸し出す。大阪府は、府営住宅20戸を月4000円で半年提供することを決めた。橋下徹知事も「今後提供する住宅を増やしたい」と述べた。

【関連記事】
「派遣切り」対策で29億 山口県が緊急予算案
広島市も離職者に住宅支援 マツダの派遣社員削減などで
期間従業員「路頭に迷う」 いすゞの解雇通告で審尋
非正規の就職支援施設がオープン 大阪
「白木屋」「魚民」などで失業者最大500人を正社員雇用へ

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081219-00000660-san-soci