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2008年12月16日(火) 14時06分

ルーシーさん事件も有罪、織原被告に無期判決…東京高裁読売新聞

 英国人女性ルーシー・ブラックマンさん(当時21歳)ら女性10人に乱暴し、そのうちルーシーさんら2人を死亡させたとして、準強姦(ごうかん)や同致死などの罪に問われた会社役員・織原城二(おばらじょうじ)被告(56)の控訴審判決が16日、東京高裁であった。

 門野博裁判長は、ルーシーさん事件について無罪とした1審・東京地裁判決を破棄。ルーシーさんに対するわいせつ目的誘拐、準強姦未遂、死体損壊の罪では有罪として、1審に続き無期懲役を言い渡した。

 ただ、「被告はルーシーさんを乱暴し死亡させたとまでは認められない」として準強姦致死罪は認めなかった。

 被告側は、最高裁に上告する方針。

 判決は、ルーシーさんが行方不明になった後、織原被告がチェーンソーを購入していることなどから、「被告が遺体を切断し遺棄した」と認定。織原被告が睡眠薬入りの飲み物を飲ませ女性に乱暴する犯行を繰り返していたことや、ルーシーさんの遺体から睡眠導入剤が変化した物質が検出されたことなどから、同剤を服用させ、乱暴しようとしたと認定した。

 検察側は、織原被告がルーシーさんにクロロホルムを吸わせて乱暴し死亡させたとして準強姦致死罪でも起訴したが、判決は、遺体からクロロホルムが検出されていないことなどを理由に、準強姦未遂罪の認定にとどめた。

 門野裁判長は一連の犯行について、「薬物を駆使して多くの女性の人格を踏みにじった類例をみない悪質な犯行だ」と述べた。

 1審判決は、「ルーシーさんが乱暴されたり、薬物を投与されたりしたことを直接証明する証拠がない」と述べ、ルーシーさん事件については無罪としていた。

 2審判決によると、織原被告は1992年〜2000年、ルーシーさんら10人を神奈川県逗子市内のマンションに連れ込み、9人に乱暴、そのうち1人を死亡させた。また、00年7月にはルーシーさんの遺体を切断し三浦市の洞窟(どうくつ)内に捨てた。

 警視庁は00年10月、織原被告を外国人女性に対する準強制わいせつ容疑で逮捕。ルーシーさんの遺体は01年2月、バラバラに切断されている状態で見つかった。。

 ◆「正義実現した」ルーシーさんの母◆

 織原被告は、黒いスーツで出廷。あごひげをたくわえ、白髪で前頭部は少し薄くなっていた。うつむきながら判決に聞き入り、時折、タオルで額の汗をぬぐうしぐさも見せた。

 1審では、10件すべてを否認したが、控訴審では、被害者が生存している8件について事実関係を大筋で認めた。今年9月の被告人質問では、死亡したカリタ・リジウェイさん(当時21歳)の遺族に計1億円を支払ったことに言及し、「私と一緒にいたために、あのような結果が生じた。お悔やみということです」と述べた。

 判決を傍聴したルーシーさんの母、ジェーン・スティアさん(55)は、隣に座った通訳がノートに筆記する文面から判決を読み取った。判決後、英国大使館で記者会見し、「ルーシーに起きたことを聞くのはつらかったが、判決には満足している。ルーシーの件で有罪になり、無期懲役が言い渡されたのだから、正義が実現したということだ」と語ったが、表情は硬いままだった。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081216-00000038-yom-soci