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2008年12月16日(火) 22時12分

<稲川会>6千万円賠償、遺族と和解 横浜の巻き添え殺人毎日新聞

 横浜市で起きた指定暴力団稲川会系組員による傷害致死事件の被害者遺族が、稲川角二総裁(故人)ら同会側5人に約1億1300万円の賠償を求めた訴訟で、横浜地裁は16日、全員の賠償責任を認める中間判決を出した。三代川俊一郎裁判長は「稲川会の威信を維持するための犯行で、稲川総裁らは使用者責任がある」などと判断した。これを受け稲川会側が陳謝して6000万円を払う内容で和解し、即日支払われた。

 訴えていたのは、同市鶴見区で03年7月、暴力団員と間違われて同会系組員2人=実刑判決が確定=に撲殺された男性会社員(当時61歳)の長男。中間判決と和解の組み合わせについて長男の弁護士は「責任の認定と早期解決の両方を実現できた。組長訴訟では新しい方法」と評価した。

 指定暴力団トップの賠償責任を認めた裁判は、山口組や住吉会に続き稲川会では初めて。過去2件は暴力団抗争が背景にあった。中間判決は、抗争ではなく日常的な縄張り維持目的の犯行も「総裁らの事業の執行」で、使用者責任の対象になるとの初判断を示した。

 長男は「(組)全体の責任を負わせたいという強い意志でやってきた。暴力団の事件に民間人が巻き込まれることは絶対にあってはならない」と話した。

 稲川会側は「総裁は事件と無関係」などと争ったが、和解では責任を認め「遺族に深く陳謝し、二度と同種事件を繰り返さないよう努める」とした。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081216-00000146-mai-soci