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2008年12月16日(火) 17時44分

グーグルとマイクロソフト、ネット中立化の支持を改めて強調Computerworld.jp

 米国Googleと米国Microsoftは、12月15日、ネット中立化を推進するという姿勢に変わりはないことを改めて強調した。

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 両社は、最近発行された米国の新聞Wall Street Journalで「ネット中立化原則支持の方針を捨てた」と報じられた。同記事によると、Googleは複数のブロードバンド・プロバイダーと高速インターネット回線に関する契約交渉を行おうとしているという。これは、アプリケーションや企業によってプロバイダーがコンテンツの配信を妨げたり、送信速度に差を付けることを認めないというネット中立化原則とは相容れない姿勢だという。

 これに対し、ワシントンD.C.でGoogleの電気通信/メディア対応顧問を務めるリチャード・ウィット(Richard Whitt)氏はブログ「Google Public Policy Blog」で、ブロードバンド・プロバイダーとの話し合いは「エッジ・キャッシング」の契約に関するものであり、ネット中立化を目指す同社の取り組みとは矛盾しないと反論した。エッジ・キャッシングとは、アクセス頻度の高いデータを、アクセスしているユーザーの近くにあるキャッシュ・サーバに一時的に保存するという技術・機能で、Googleはブロードバンド・プロバイダーの施設内へキャッシュ・サーバを設置することを提案しているという。

 同氏によると、Googleがブロードバンド・プロバイダーとの間で締結を目指しているエッジ・キャッシング契約は独占的なものではなく、他のオンライン企業も同様の契約を結ぶことができるという。「当社のトラフィックを優先的に扱うように求めてはいない。もしブロードバンド・プロバイダーが、消費者のインターネット接続を一方的に管理し、競争を阻害するようなやり方でキャッシング・サービスを提供することになれば、インターネットのオープンな性質が損なわれ、技術革新に支障を来すことになる」(ウィット氏)

 Wall Street Journalの記事は、Microsoftと米国Yahoo!もネット中立化推進陣営から抜けようとしていると指摘しているが、Microsoftの広報担当者は「そのような方針転換はない」と説明している。

 2006年10月、Microsoftは、米国AT&Tと米国BellSouthとの合併提案をめぐる議論のさなか、It's Our Net連合(すでに活動を停止)から脱退した。同社は、ネット中立性に対する消費者の権利は支持するものの、ブロードバンド・プロバイダーがサービスや機能強化に一定の差を付けることについては、かなり前から支持する姿勢を明確にしていた。

(Grant Gross/IDG News Serviceワシントン支局)

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http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081216-00000004-cwj-inet