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2008年12月16日(火) 16時56分

<利殖商法>団塊退職金狙い?被害急増 投資1億円以上、大阪で6件毎日新聞

 未公開株や商品相場など投資話に絡む「利殖商法」の被害が急増している。全国の相談件数は昨年度で4年前の2倍に達し、大阪府内では昨年度ゼロだった「投資額1億円以上」の相談が今年度は上半期で6件に上った。高額被害が目立っているという。被害者の大半は高齢者でリスクを認識しないまま被害に遭うケースが多く、団塊の世代の退職金狙いとの見方もある。専門家も「単純なもうけ話はない」と指摘しており、各地の消費者相談窓口は注意を呼びかけている。【田辺一城、山口朋辰】

 「必ずもうかる」「元本保証」。甘い言葉で投資を勧めるのが利殖商法の手口だ。「将来、上場する」と未公開株の購入を持ちかけたり為替の動きを見ながら権利を売買する「海外商品先物オプション取引」の勧誘など、扱う商品はさまざまだが、中には詐欺まがいの手口もみられるという。

 国民生活センター(東京)によると、03年度4281件だった相談件数は04年度4902件▽05年度6105件▽06年度7585件▽07年度9004件−−と4年間で2倍以上に増加。今年度も12月1日現在で4679件に上った。相談者の平均投資額は約600万円という。

 大阪府消費生活センターによると、府内では「1億円以上」の被害相談が目立ち、上半期で6件。03〜06年度は0〜2件、07年度は0件だった。

 大阪府内の70代男性は数年前、ある会社の上場話を持ちかけてきたブローカーに誘われ未公開株を1億円分購入したが、株は上場されないまま。しばらくすると「被害者救済集団」を名乗る人物から、「あれは詐欺だった。弁護士相談は3000万円取られるが、集団に入れば100万円で済む」と誘われた。不審に思いセンターに相談すると、誘いはさらに金を詐取しようとする「罠(わな)」と分かった。

 また、60代男性は雑誌広告で見た投資ファンドに1億円出資したが、間もなく担当者と連絡が取れなくなった。他にも「銀行に『元本保証』と勧められて投資型保険に4億円で入ったが、元本割れした」「先物取引で担当者が失踪(しっそう)した」などの相談が寄せられた。

 業者側の説明不足が相談数を押し上げていることもあるが、国民生活センターは「不景気で高齢者の将来不安が増しているのも一因」と分析。府消費生活センターは「長生きするようになり、子や孫に迷惑をかけたくないとの思いから高利息なものに手を出すケースが多い」と指摘し、勧誘されても、家族に相談する▽書類をよく読む▽すぐに契約しないこと−−が大切と呼びかけている。

 ◇先物・証券被害問題研究会(大阪)の向来俊彦弁護士の話

 ハイリスクな投資と分かっているのに、巧みな勧誘で「この取引は大丈夫」と思い込まされてしまう人もいる。「もうけ話を見ず知らずの他人に勧めるわけがない」と意識し、断る勇気を持つことが必要だ。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081216-00000043-maiall-soci