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2008年12月15日(月) 11時26分

<日銀短観>景気後退「危険水域」に毎日新聞

 12月の日銀短観は大企業・製造業の業況判断指数の下落幅が過去2番目の大きさとなり、金融危機が景況感の歴史的な悪化を招いた。70年代前半の第1次石油危機に匹敵するパニックが日本経済を襲った格好で、景気後退は予想以上の深い谷に落ち込みかねない。

 9月短観時点で大企業・製造業の業況判断指数の3カ月先の予測はマイナス4。9月短観比で1ポイントの小幅悪化と見込んでいたが、実際はマイナス24と大幅に悪化した。金融危機が予想をはるかに上回る速度と震度で日本経済を揺さぶったことを示した。

 金融危機の衝撃を鮮明にしたのが11月の新車販売台数だった。前年同月比27%減と34年ぶりの減少率を記録し、危機の震源地である米国の11月新車販売台数の減少率(36%)に迫った。

 金融市場の混乱が米国の消費を冷やし、外国為替市場では急速な円高が進んだ。自動車や電機など外需依存の日本の輸出業界を直撃し、減産や雇用削減が拡大した。先行き不安が消費者に財布のひもを締めさせ、猛烈な勢いで経済活動を収縮させた。

 大企業は90年代のバブル崩壊後の雇用や設備の過剰をリストラで解消しており、今回の景気後退は当初、浅いとの見方が強かった。だが、12月短観では雇用や設備の過剰感が悪化。再びリストラの動きが相次ぎ、景気後退を深刻化させる「危険水域」に入りつつある。

 12月短観の大企業・製造業の業況判断指数の3カ月先の予測はマイナス36とさらに落ち込む見通し。しかも、先週末には13年ぶりに1ドル=90円を突破する円高となり、足元の景況感は一段と悪化している可能性もある。

 日銀は10月末に7年7カ月ぶりの利下げに踏み切り、新たな企業の資金繰り対策にも乗り出した。だが、景況感の大幅悪化で、18、19日に開く金融政策決定会合では追加対策を迫られかねない。【斉藤望】

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