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2008年12月15日(月) 04時53分

狙った細胞で遺伝子機能解析=新顕微鏡開発、がん解明に期待−産総研など時事通信

 動物の遺伝子の機能を、体内の狙った細胞で調べたいタイミングで調べられる「赤外線レーザー誘起遺伝子発現操作法(IR−LEGO)顕微鏡」が開発された。産業技術総合研究所の組織・再生工学研究グループ(兵庫県尼崎市)と京都大、名古屋大、東京大の研究チームが15日、米科学誌ネイチャー・メソッズ電子版に発表した。
 ヒトと同じ脊椎(せきつい)動物のメダカやほぼ透明なゼブラフィッシュなどをモデル動物として、がんやパーキンソン病などの遺伝性疾患の仕組みのほか、神経や臓器の形成過程を解明するのに役立つと期待される。
 研究チームは、高温環境になると、たんぱく質の変性による細胞の障害を防ぐため、特定の遺伝子塩基配列が働く「熱ショック応答」と呼ばれる仕組みに注目。この配列に調べたい遺伝子と緑色蛍光たんぱく質(GFP)遺伝子を結合し、赤外線レーザーを照射して適度に加熱すれば、調べたい遺伝子が光ると同時に働き始めると考えた。
 まず線虫をモデルに実験。線虫の卵巣に相当する生殖腺は腹側で形成され始め、途中でUターンして背中側に延び、Uターン場所は「UNC−6」遺伝子が働く細胞で決まる。
 UNC−6遺伝子を壊した個体に、改めて同遺伝子とGFP遺伝子を熱ショック応答配列に結合する形で導入し、レーザー照射したところ、生殖腺が正常に形成され、Uターン場所の細胞が光り、機能を確認できた。 

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http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081215-00000008-jij-soci