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2008年12月14日(日) 23時01分

散乱する羽根や骨 原因特定が野生復帰成功の一歩産経新聞

 山中に散乱する白い羽根。個体識別に用いるオレンジ色のマーカーが付着した羽根も見える。さらに「15」と彫られた塩化ビニール製の緑色の脚輪も。野鳥に襲われ行方不明になっていたトキは14日午前、変わり果てた姿で見つかった。

 死んでいたのは個体番号15、1歳のメス。羽根に付いたアニマルマーカーの色から、愛鳥家の間では「みかんちゃん」と呼ばれていた。

 死体が見つかったのは野鳥の襲撃を受けた9日、最後に飛び立つのが目撃された場所から北へ500メートルの山中。胸骨や上腕骨なども確認された。死体が10メートル四方の5カ所に散乱していたことから、佐渡トキ保護センターの金子良則獣医師は「飛べなくなったトキが複数のタヌキに襲われた可能性が高い」とみている。

 その際、トキが生きていたかは不明。だが、現場に残された羽根に水がしみこんでいることから、金子獣医師はタヌキに襲われた時期について「少なくとも数日前、野鳥に襲われた9日か翌10日ではないか」としている。現場周辺では9日以降、断続的に雨が降っていた。

 今後は、残された骨から唾液(だえき)などを採取、襲った動物を特定したい考えだ。

 環境省佐渡自然保護管事務所の岩浅有記自然官は「残念だが自然界のことなので想定していたこと。原因をしっかり追究し次の野生復帰の成功につなげることが重要」と話している。(大山文兄)

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