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2008年12月14日(日) 22時55分

「4人殺害と同等の判決を」長久手籠城、殉職警官の父が手記読売新聞

 愛知県長久手町で2007年5月、警察官を含む4人が死傷した籠城(ろうじょう)・発砲事件で、殺人罪などに問われた元暴力団員大林久人被告(52)の判決公判前に、死亡した県警SAT隊員林一歩警部(当時23歳)の父・千代和さん(53)が14日、報道機関に手記を公表した。

 手記の全文は以下の通り。

          ◇

 第1回の公判が始まり約7か月間続いた長く辛い公判も10月に論告求刑があり、昨年の5月17日、あの事件から1年7か月となる12月17日の判決の日が近づいてきました。

 私たち遺族が意見陳述で述べた極刑である「死刑」が求刑され、被告には自分が起こした事件がいかに凶悪であり重大な事件であったか、罪の重さを認識し深く反省してほしいと思います。

 「死刑制度」が論議されている中での今回の求刑ですが被告に対する気持ちは私達遺族しか分かり得ない部分があると思います。

 一般の市民生活にあってはならない拳銃を持ち出し、事件現場に駆け付けた警察官に発砲、その警察官は重傷を負い、更に被告は負傷をした警察官の救出に向かった息子にまでも照準を合わせ発砲し息子を殺害しました。

 親としてあってはならない自分の子供までにも発砲し重傷を与えた凶悪な事件でありました。

 意見陳述でも述べましたが銃を持つことが既に「殺人目的」であり、発砲すれば「殺人行為」にあたり被告の起こした犯罪は十分に「死刑」に匹敵すると思っています。

 被告は4人を殺害した殺人犯と同等の判決を受け罪を償うべきと思っています。

 治安を守る警察官に発砲するなど絶対あってはならない、銃犯罪抑制のためにも二度と同様な事件が発生しないよう厳罰をもって罰せられ、市民生活の安全が保たれることを望みます。

 間もなく判決の日を迎えます。

 あの凶悪な事件をもう一度思い出して頂き「事件の凶悪さ」「拳銃の犯罪」「再発防止」「命の大切さ」などについて考える機会として頂きたいと思います。

 月日が経っても「一歩」を失った悲しみは癒えることはありません。

 悔いの無い判決が下されることを願っています。

 林 千代和

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 判決は名古屋地裁で言い渡される。争点は殺意と責任能力の有無で、検察側は「治安や法秩序を蹂躙(じゅうりん)するテロ行為。殺害被害者は1人だが、至近距離から撃たれた3人も死亡する危険性があった」として死刑を求刑。弁護側は「殺意はなく、極刑は重すぎる」として、死刑を回避するよう求めている。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081214-00000035-yom-soci