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2008年12月14日(日) 00時05分

「着床前診断」低い出生率…44件実施で誕生3人読売新聞

 日本産科婦人科学会(吉村泰典理事長)は13日、体外受精した受精卵で遺伝病の有無などを調べる「着床前診断」について、全国で過去3年間に行われた件数と結果を公表した。

 同学会に報告した8医療機関では44人の女性に受精卵64個を戻したが、生まれた子供は3人と少なかった。着床前診断の実施成績が明らかになったのは初めて。

 着床前診断は生命の選別につながるとして賛否両論がある。そのため同学会では、実施を望む医療機関からの申請を審査し、設備や実施内容が問題ない場合に限って認めている。

 今回公表したのは2005年4月〜今年3月の結果で、同学会は107件の申請を受け、73件を承認。このうち、夫か妻の染色体異常で流産を繰り返す「習慣流産」の夫婦が57件を占めた。出産に至った3件はいずれも習慣流産の夫婦で、遺伝病を持つ夫婦の出産例はなかった。

 出産率の低さについて、同学会倫理委員長の星合昊(ひろし)・近畿大教授は「受精卵を分割する時に傷つけてしまうなど、原因は技術的なものかもしれない」と語った。

 また同学会は、日本生殖医学会が兄弟姉妹などから提供された精子・卵子を使った非配偶者間の体外受精を認める方針を決めたことに対し、「厚生労働省の部会は、精子・卵子の提供を『匿名の第三者』に限定し、それ以外は好ましくないと報告している。我々はそれを尊重したい」(星合委員長)との見解を示した。

 非配偶者間の体外受精や着床前診断、代理出産などの生殖補助医療は法制化が進んでいないことから、同学会は近く、早急な法整備を求める要望書を舛添厚生労働相に提出する予定。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081213-00000055-yom-sci