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2008年12月14日(日) 16時32分

戦中の岩国の地図を復刻中国新聞

 終戦前の岩国市の商店街や官公署を地図上に記した「大日本職業別明細図 山口県岩国市」の復刻版を、広島市南区の古書店あき書房が発売した。錦帯橋周辺のにぎわいを読み取ることができ、郷土史家によると「当時の地図は残っていないので珍しい」という。地図(縦55センチ、横76センチ)は、1942年4月に「東京交通社」が発行。裏面は業種別の広告で、価格は35銭とある。

 当時、岩国市街の中心は錦帯橋かいわいだった。大小の通り沿いに商店や旅館の名前が連なり、警察署や税務署、県立岩国中学校も書き込まれている。一方、現在の中心地である岩国駅周辺は事業所などがまばらに点在するだけ。

 復刻したのは、あき書房店主の石踊一則さん(61)。終戦前後の広島市街図の復刻が好評で、以前収集していた岩国の地図を見つけて発案したという。岩国市史編さん委員の山田豊さん(70)=同市横山=は「当時の街の息吹を感じる」と懐かしそう。建物の白黒写真も載っており、錦見の劇場「錦座」や、戦後、米軍に一時接収された中央図書館にも関心を寄せていた。

 復刻版は1000部作製。石踊さんは「子どもたちに地域の歴史を伝える教材にもなれば」と話している。1部1050円。あき書房=電話082(255)1916。

【写真説明】復刻した戦前の岩国市の地図と原本を見せる石踊さん。地図中央上部が錦帯橋周辺で、手前の三角州海側は海軍飛行場が記載されていない

http://www.chugoku-np.co.jp/News/Tn200812140037.html