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2008年12月13日(土) 10時14分

元マツダ派遣社員の支援強化中国新聞

 マツダが本社宇品工場(広島市南区)の派遣社員約800人の大半の契約を打ち切ったのを受け、広島市や東広島市のハローワークが元派遣社員の再就職の支援を強めている。寮から退去を余儀なくされる元派遣社員の住宅確保では、厚生労働省が雇用促進住宅の活用を決め、入居の条件や手続きを詰めている。

 マツダの派遣社員の寮が広島市南、西、中区や東広島市にあったため、管轄する広島東(東区)広島(中区)広島西条(東広島市)の3ハローワークはそれぞれ16日に雇用保険受給に必要な離職票の合同受理会を開く。広島東は18、24日、広島は17、24日、広島西条は18日にも開く。

 各ハローワークは元派遣社員の再就職先開拓にも力を入れる。広島東は20日、ガソリンスタンドや生命保険など4社が正社員計約30人を募る合同面接会を予定。

 面接会にも参加する佐川急便中国支社(南区)は11月下旬、荷物の積み込みや宅配を担う正社員12人の求人を出した。宅配便の取り扱い拡大で増員を決めた同支社は「電話などで問い合わせをもらう元派遣社員の多くが正社員での就職を望んでいる」という。

 ハローワーク広島は25、26日、運輸や倉庫、飲食業、食品製造など8社が参加する合同面接会を開く。これまでに広島東、広島にはマツダの元派遣社員約50人ずつが求職申込書を出している。

 マツダで働いていた派遣社員約800人のうち約500人が派遣会社の寮などに住んでいた。派遣会社は民間アパートなどを借り上げて寮にしており、契約解除で派遣社員に退去を求めている。広島労働局は派遣会社に退去の延長を要請しているが、派遣会社側は「個別に対応する」との立場だ。

 全国で契約を打ち切られる派遣社員の住宅確保が問題になる中、厚労省は雇用促進住宅の活用を決定。就労支援を目的にした雇用促進住宅は2003年に30年間ですべて売却・廃止する方針が出されたが、まだ廃止が決まっていない全国約7万戸のうち現在空いている約1万3000戸を活用する。

 10月末現在の空き戸数は中国地方が2688戸で、うち広島県が788戸、広島市が153戸。厚労省は「入居条件などを検討しており、年内には手続きを公表したい」としている。

 一方、県営や市営住宅の利用は難しい状況だ。公営住宅法が災害などの場合を除き、入居者を公募しなければならないと規定しているためだ。さらに、入居は親族との同居が原則で、単身の場合は年齢制限などがある。

http://www.chugoku-np.co.jp/News/Tn200812130044.html