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2008年12月13日(土) 06時02分

年賀状バイトどっと込む!失業率最悪で事情が一変スポーツ報知

今年1月1日、郵便事業会社日本橋支店から年賀状の配達に出発する配達員。不況でアルバイトの申し込みが増えた

 派遣社員ら非正規労働者のリストラや学生の採用内定取り消しが相次ぐ中、年賀状の集配や仕分けバイトに応募が殺到していることが、12日までに分かった。ここ数年、飲食業などに高い時給の短期アルバイトが増えた影響で、人材確保に苦心してきた年賀状バイトだが、今年は不況の襲来で事情が一変。これまで高校・大学生らが中心だったが、それ以外の求職者の応募が急増した。世界的な景気低迷による国内の雇用情勢の悪化が、あらためて裏付けられた形だ。

 今月15日の年賀状の受け付け開始を控え、郵便事業会社が募集する年賀状の集配や仕分けのアルバイトに、申し込みが殺到している。

 同社によると、今月中旬から来年1月5日ごろまでの年賀状バイト採用計画は、全国で約19万4000人(前年実績20万人強)。これに対し、12月1日時点ですでに8割を超す約15万8000人を確保。バイト確保率も前年同時期と比べ、12ポイント上昇した。

 全国に13ある支社別でみても、確保率は北海道(前年同時期と同率)を除き、軒並み前年を上回った。中国は確保率が29ポイントアップの84%、東海(78%)と四国(85%)はともに28ポイント上昇し、19ポイントアップの南関東(76%)が続く。

 時給は地域ごとに異なるが、約800〜900円で、決して高いとはいえない。それでも、雇用悪化は全国で進行中。トヨタ自動車やマツダ、いすゞ自動車など、大手製造業が非正規社員を大幅削減する地域と、確保率上昇幅が上位の支社管轄エリアは重なる。

 郵便事業会社東海支社の後藤周一・要員企画課長は「例年、アルバイトの7割を生徒や学生が占めるが、今年は一般の方の応募が増えており、不況で他の求人が減った影響を感じる」と指摘する。

 全国求人情報協会によると、求人情報誌や折り込みチラシなどに掲載された求人広告の件数は、4月から前年同月比マイナスが続いており、最新データの10月は26%の激減。バイト求人の極端な落ち込みが「年賀状バイト回帰」の背景にある。

 郵便事業会社関係者は「応募者が多く集まれば、仕事の質の向上が期待できてありがたいが、複雑な心境だ」と話す。

 こうした状況を受け、厚生労働省は12日、緊急の全国職業安定部長会議を開催。舛添要一厚労相は「雇用情勢は(失業率が)過去最悪の5・5%を上回り、100万人を超す失業者が新たに発生する恐れがある」と指摘。各地の労働局で職業紹介や雇用対策を担当する職業安定部長に、失業者の支援強化を訴えた。

http://hochi.yomiuri.co.jp/topics/news/20081213-OHT1T00040.htm