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2008年12月13日(土) 06時02分

08年は「変」な1年でした…「今年の漢字」圧倒的支持スポーツ報知

清水寺で今年の世相を表す漢字「変」を揮毫する森清範貫主

 2008年の世相を象徴する「今年の漢字」が「変」に決まり、日本漢字能力検定協会(京都市)が12日、京都市東山区の清水寺で発表した。「チェンジ(変革)」を訴えたバラク・オバマ氏(47)が次期米大統領に選ばれたことや福田康夫前首相(72)の辞任で短期間で首相が交代したことなどが選出理由。2位以下には「金」「落」「乱」「高」と昨今の経済危機を連想する字が続き、10位は「薬」だった。

 混迷した時代だからこそ…。清水寺の貫主(かんす)森清範さん(68)が午後2時すぎ、縦約1・5メートル、横1・3メートルの福井県産の越前和紙に、広島県熊野町産の特大の筆で力強く揮毫(きごう)した。約1500種の漢字の中から選ばれた今年の一文字は「変」だ。

 主催の日本漢字能力検定協会によると、応募総数は11万1208通で過去最多。うち「変」は、2位の「金」(3211通)を大きく引き離し、6031通(5・4%)で圧倒的な支持を得た。

 選出理由には、今年9月の福田前首相の辞任表明で2年連続で首相が短期間で交代することになった“政変”や、米大統領選で「チェンジ(変革)」を訴え、黒人初の大統領誕生となるオバマ氏などが挙がった。また、株価が暴落した世界的な金融情勢の大変動、物価上昇による生活の変化など社会経済の事象も影響を与えた。

 2位の「金」は、北京五輪で日本勢が金メダル獲得に奮闘した経緯を受けたものだが、3位は「落」(3158通)で、以下「食」「乱」「高」「株」「不」などが続き、最近の不安定な経済状況を表した漢字が目立った。相撲界をはじめ、各界で広がりを見せる大麻事件などからか、10位は「薬」だった。

 「今年の漢字」の発表は今回で14回目。食品偽装問題などが目立った昨年は「偽」が選ばれた。

 筆をふるった森貫主は、奉納法要後「この字と想像していた」と感想を述べた。閉塞(へいそく)感が漂う世相を反映して、「オバマ氏の『変革』に影響された日本国民の、政治や経済、社会を変えてほしいという願いだ」と解説。その上で「自分自身が変わっていくことが大切。今年は(日本人の)ノーベル賞受賞者が4人も出た大変な年だ」と笑顔で語っていた。

 ◆石原都知事は「乱」
  ○…石原慎太郎東京都知事(76)は12日の定例会見で、今年の漢字に「変」が選ばれたことに「興味ないんだよ、俺は。坊さんがいつもやるらしいけれども。変じゃない、むしろ“乱”じゃないか。乱れてきたんじゃないの」と吐き捨てた。漢字一文字で世相を表すことに抵抗があるようで「高等な文学者ですから」といらついていた。

http://hochi.yomiuri.co.jp/topics/news/20081213-OHT1T00031.htm