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2008年12月13日(土) 23時29分

<シーリング>異例の見直し 緊急予備費1兆円新設で毎日新聞

 政府は今月3日に「維持」を決めたばかりの09年度当初予算の概算要求基準(シーリング)を、近く変更する閣議了解を行う。12日に発表した「生活防衛のための緊急対策」で、経済急変への備えを名目に1兆円の経済緊急対応予備費の新設を決めたため、政策経費を示す一般歳出が膨らみ、今年7月の閣議了解で決めた一般歳出の上限(47・8兆円)を守れないためだ。異例のシーリング見直しは、財政規律の喪失ぶりを印象づけそうだ。

 20日に財務省が原案を示す09年度予算は、一般歳出が52兆円程度となる見込み。地方交付税などを加えた一般会計総額は、00年度の84兆9871億円を上回る過去最大の90兆円台に迫るのは確実な情勢だ。

 生活防衛対策の財政支出は10兆円。うち10月末の追加経済対策(6兆円)を除いた4兆円は雇用対策、地方交付税の増額、政策減税、緊急予備費に各1兆円ずつ振り向ける。緊急予備費は、既存のシーリングとは別に麻生太郎首相の政治判断で追加された。

 背景には与党の歳出圧力の高まりがあるが、緊急予備費1兆円の多くは雇用対策の名目で公共事業に回る可能性が高い。「骨太の方針06」以来の公共事業費の前年度比3%削減方針も有名無実化されそうだ。【清水憲司】

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