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2008年12月13日(土) 22時30分

今あらためて問う! 東京裁判産経新聞

■13日、東京都千代田区の科学技術館

 戦勝国が日本の指導者を裁いた極東国際軍事裁判(東京裁判)。判決から60年を機に開かれたシンポジウムは、直近の「田母神論文問題」で熱くなった。

 「侵略戦争を否定しただけで、現職の幕僚長の首が簡単に飛んだ。更迭の根拠は『村山談話』だが、その背後で、東京裁判がまだ燃え続けている」

 上智大名誉教授の渡部昇一氏は基調講演でこう語った。インドのパール判事が東京裁判は国際法を無視していると指摘し、被告全員を無罪と主張するなど、同裁判への疑義はかねて提起されている。「わが国だけが東京裁判を大変重要で正しいと解釈していることは、国際的にみて驚き。正さなければ」。ジャーナリストの櫻井よしこ氏は、そう訴えた。

 平成7年の村山談話について、「村山(富市)首相は日本が過去に国策を誤ったとして謝罪したが、具体的に何を誤ったのかと記者に聞かれて、何も答えられなかった」と櫻井氏。

 高崎経済大教授の八木秀次氏は、田母神論文問題について「村山談話が憲法にも教育基本法にも優位する存在として政府を縛っていることを明るみに出した」と述べ、「防衛省は自衛隊幹部教育の見直しを表明しているが、その影響が学校教育にも及べば、伝統文化を尊重する改正教育基本法の理念が形骸(けいがい)化してしまう」と警鐘を鳴らした。

 国際日本文化研究センター教授の牛村圭氏は「肯定論と否定論との対立は不毛で、生産的な議論がどうすれば可能かを考えるべきだ」と呼びかけた。

 大阪大教授の坂元一哉氏は「サンフランシスコ講和条約で日本が『東京裁判の諸判決を受諾し』とあるのは、裁判の正当性を認めたわけではなく、戦争責任とは無関係だ」と強調した。

 「事実を知ることによって、燃え続ける東京裁判の火を消そう」と渡部氏。約700人の聴衆が聞き入った。(鵜野光博)

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